「ストレスチェックの案内文、何を書けばいいですか?」「未受検の人へのリマインドは、どこまで強く言っていい?」「高ストレス者への面談の勧め方は?」——実施の時期になると、事務局の方から毎年届く質問です。
先に結論です。案内文に必ず入れるのは「一次予防であり、医師と話す機会であること」「あくまで任意であること」「守秘義務があり、情報が漏れることはないこと」の3つです。この3つが入っていれば案内文はほぼ合格で、あとは受検方法と期限を分かりやすく書くだけです。文面より効くのは「ハードルの低さ」で、面接指導は予約システムなどで本人が日時を選べるようにすると、人事も本人も日程調整で疲れません。
この記事では、現役産業医として顧問先の案内文を毎年見ている立場から、必ず入れる3つの一文、4つの文書を出す順番、そのまま使える例文4本、受検率と申出率を上げる工夫をまとめました。例文はコピーして社名と日付を入れ替えれば使えます。
案内文に必ず入れる3つの一文——一次予防・任意・守秘

私が「これだけはしっかり入れてもらった方がいい」と伝えているのは3点です。
| 入れる内容 | 一文の例 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| ①一次予防であり、医師と話す機会であること | 「ストレスチェックは病気の検査ではなく、ご自身のストレスに早めに気づき、必要なときに医師と話す機会をつくるための取り組みです」 | 「うつ病の検査」と思われると、受検も面接指導も避けられる |
| ②あくまで任意であること | 「受検は任意です。受検しないことや結果を理由に、不利益な取扱いをすることはありません」 | 強制と感じると正直に答えなくなる。任意と明記した方が受検率は上がる |
| ③守秘義務があり、情報は漏れないこと | 「結果は実施者(医師・保健師)からご本人に直接お知らせします。ご本人の同意なく会社が結果を見ることはありません」 | 「会社に見られる」という不安が申出を止める |
4つの文書をいつ誰が出すか——案内文・リマインド・面接指導の勧奨・管理職向け

| 文書 | 誰から誰へ | いつ | 入れること |
|---|---|---|---|
| ①受検の案内文 | 人事(事務局)→全従業員 | 受検開始の1〜2週間前 | 目的(一次予防)・任意・守秘・受検方法・期間・問い合わせ先 |
| ②受検のリマインド | 実施事務従事者または委託先→未受検者 | 受検期間の残り3〜5日 | 期限・所要時間(約10分)・任意であること(圧力にしない) |
| ③面接指導の勧奨 | 実施者(医師・保健師)→高ストレス者本人 | 結果通知と同時〜2週間以内 | 医師と話せる貴重な機会・受けても不利にならない・申出の方法と期限・予約窓口 |
| ④管理職向けの説明文 | 人事→管理職 | 案内文の配布前 | 上司は結果を見られない・部下に受検や面談を迫らない・様子が心配なら人事へ |
文例①:受検の案内文(全従業員向け)
件名: 【ご案内】ストレスチェックの実施について(○月○日〜○月○日)
従業員の皆さまへ
労働安全衛生法に基づき、今年度のストレスチェックを下記のとおり実施します。
ストレスチェックは病気の検査ではなく、ご自身のストレスに早めに気づき、必要なときに医師と話す機会をつくるための取り組み(一次予防)です。
■実施期間: ○月○日(月)〜○月○日(金)の2週間
■受検方法: 下記のリンク(またはQRコード)から。所要時間は約10分です。
■実施者: ○○(委託先名・保健師/医師)
■結果の通知: 実施者からご本人に直接お知らせします。ご本人の同意なく会社が結果を見ることはありません。
■受検は任意です: 受検しないことや結果を理由に、不利益な取扱いをすることはありません。
■高ストレスと判定された方: ご希望により医師の面接指導を受けられます(申出はご本人からです)。
■お問い合わせ: 総務部 ○○(内線○○)
ご自身の状態を知る機会として、ぜひご活用ください。
文例②:受検のリマインド(未受検者向け)
件名: 【○月○日まで】ストレスチェックの受検期限のご案内
○○さん
ストレスチェックの受検期限が○月○日(金)に迫っています。
まだ受検されていない方に、実施事務担当からご案内しています。
所要時間は約10分で、下記のリンクから受検できます。
受検は任意ですので、ご都合が合わない場合は無理にお願いするものではありません。
結果は実施者からご本人に直接届き、会社が見ることはありません。
ご不明点は総務部 ○○までご連絡ください。
文例③:面接指導の勧奨(実施者から高ストレス者へ)
件名: ストレスチェックの結果について(実施者からのご案内)
○○さん
ストレスチェックの実施者(保健師 ○○)です。
今回の結果では、ストレスが高めの状態と判定されました。これは病気の診断ではなく、いまのストレスの状態を示すものです。
ご希望があれば、医師による面接指導を受けることができます。医師と時間をとって、ご自身のストレスや体調、働き方について話せる貴重な機会です。
面接指導を受けたことや話した内容が、ご本人の同意なく会社に伝わることはありません。受けたことを理由に不利益な取扱いを受けることもありません。
■申出の方法: 下記の予約リンクから、ご都合のよい日時をお選びください(オンライン可)。
■申出の期限: ○月○日まで
■お問い合わせ: 実施者 ○○(メール/電話)
受けるかどうかはご本人が決めていただくものです。迷われたら、まずはご連絡ください。
申出がないときの勧奨の回数ルールや相談しやすい会社の作り方は高ストレス者が面接指導を申し出ないときの対応、会社が面談を指示できない理由は産業医面談は会社が指示できる?で解説しています。
文例④:管理職向けの説明文
件名: ストレスチェック実施にあたっての管理職の皆さまへのお願
管理職の皆さまへ
○月○日からストレスチェックを実施します。管理職の皆さまに3点お願いします。
1. 部下の個人の結果は、管理職も会社も見ることができません。「結果はどうだった?」と聞かないでください。
2. 受検や面接指導を迫らないでください。受けるかどうかは本人が決めます。「医師と話せる制度がある。受けても不利にならない」と伝えていただくのは歓迎です。
3. 部下の様子(勤怠・仕事ぶり・表情)が気になるときは、結果とは関係なく、人事または産業医にご相談ください。
部署ごとの集団分析の結果は、後日、改善の材料として共有します。評価に使うものではありません。
管理職が知れること・やること・NGは高ストレス者に上司はどう関わる?にまとめています。
受検率と申出率を上げる工夫——文面より「ハードルの低さ」で決まる

| 受検率・申出率を下げる案内 | 上がる案内と仕組み |
|---|---|
| 「必ず受けてください」と強制の文面 | 一次予防・任意・守秘の3つの一文を入れる |
| 結果を会社で管理すると読める書き方 | 所要時間(約10分)と期限を明記。受検期間は2週間 |
| 受検方法が分かりにくい(ログイン手順が長い・紙の回収先が不明) | QRコードやリンクで1クリックで受検画面へ |
| 面接指導の予約が「人事に連絡→医師と調整→また連絡」で何往復もする | 面接指導は予約システムで本人が空き枠を選ぶ(人事を介さない) |
| 受検期間が長すぎて後回しにされる(1か月以上) | 上司からは「受けても不利にならない」の一言だけ |
まとめ:3つの一文と、予約しやすい仕組み
- 案内文に必ず入れるのは、一次予防で医師と話す機会であること、任意であること、守秘義務で情報は漏れないこと。
- 「必ず受けてください」「結果は会社で管理」「高ストレスの方には面談を受けていただきます」は入れない。
- 4つの文書は、管理職向け→案内文→リマインド→面接指導の勧奨の順。勧奨だけは実施者から送る。
- 受検期間は2週間、所要時間と期限を明記、1クリックで受検画面へ。
- 面接指導は予約システムで本人が空き枠を選ぶ。日程調整で人事が疲れない。
あわせて読みたい:ストレスチェックの面接指導と運用
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- 長時間労働の産業医面談 案内文テンプレ|そのまま使える文例5つと書き方
よくある質問
Q1. 案内文に「必ず受けてください」と書いてもいいですか?
書かないでください。受検は任意で、強制と感じると正直に答えなくなり、受検率も下がります。「受検は任意です。受検しないことや結果を理由に不利益な取扱いをすることはありません」と明記した方が、結果として受検率は上がります。
Q2. 未受検者へのリマインドは誰が送ればいいですか?
未受検者の名簿を扱うので、人事権のない実施事務従事者か委託先から送ります。文面は期限と所要時間を伝えるだけにし、「任意であること」を添えて圧力にしないでください。
Q3. 高ストレス者への面接指導の勧奨は会社から送れますか?
会社は誰が高ストレスかを知らないので送れません。実施者(医師・保健師)から本人に送ります。「医師と話せる貴重な機会」「受けても不利にならない」「申出の方法と期限」「予約の窓口」を入れてください。
Q4. 受検率を上げるには文面をどう変えればいいですか?
文面より仕組みが効きます。所要時間と期限の明記、受検期間を2週間に区切る、QRコードやリンクで1クリックで受検画面へ、上司からの「受けても不利にならない」の一言。この4つで多くの会社は改善します。
Q5. 面接指導の日程調整で人事が疲れます。どうすればいいですか?
本人が医師の空き枠から自分で日時を選べる予約の仕組みにしてください。人事が医師と本人の間で何往復もする必要がなくなり、本人にとってもハードルが下がります。勧奨メールに予約リンクを載せるのが最も簡単です。

