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ストレスチェックの費用はいくら?相場・内訳・50人未満の総額を産業医が解説

2026 9/12
ストレスチェック
2026年9月12日

「ストレスチェックって、結局いくらかかるの?」「見積もりを3社取ったけれど、何が違うのか分からない」——2028年4月の50人未満への義務化を前に、費用の相談が一気に増えています。

先に結論です。ストレスチェックの費用は、受検そのものが1人あたり500〜700円前後、高ストレス者への医師の面接指導が1件3万円前後の2つでほぼ決まります。受検費は人数に比例して読みやすい一方、総額を左右するのは面接指導の件数です。従業員50人の会社なら受検5万円+面接指導2件6万円=年11万円(税別)程度で収まることが多く、100人でも年16万円ほどが目安です。

この記事では、現役産業医として毎年ストレスチェックの実施と面接指導を担当している立場から、費用の内訳、1人あたりの相場、見積もりで差がつく項目、規模別の総額シミュレーション、費用負担のルール、助成金と無料枠の現状を、これから実施する会社の目線で解説します。


目次

ストレスチェックの費用は何で決まる?——4つの内訳

ストレスチェック費用の4つの内訳を示した図。受検費はWebで1人500〜700円前後、面接指導費は約3万円/件、集団分析は無料〜数万円、実施者の関与費は受検費に含まれることが多い。

見積書の項目は業者ごとに違いますが、中身は次の4つに分解できます。①受検費(調査票の配布・回収・結果通知)、②高ストレス者への面接指導費、③集団分析などのオプション費、④実施者(医師・保健師)の関与にかかる費用です。このうち①は人数で決まり、②は「高ストレス者が何人出て、何人が面談を申し出るか」で決まります。

内訳相場の目安何で変わるか義務か
①受検費1人500〜700円前後(Web)設問数(57項目/80項目)、紙かWebか、最低料金の有無義務(50人以上。2028年4月から全事業場)
②面接指導費1件3万円前後(意見書込み)申出件数、産業医の有無(顧問の業務内か、スポットか)申出があれば義務
③集団分析・レポート無料〜数万円部署別の分析の深さ、報告会の有無努力義務
④実施者の関与受検費に含む業者が多い実施者を業者の医師・保健師に頼むか、自社の産業医が担うか実施者は必須

実施者(医師・保健師など)がいなければストレスチェックは実施できません。産業医がいない会社は、外部委託先の医師・保健師を実施者にするのが一般的です。実施者の要件はストレスチェックの実施者とは?保健師も担当できる理由と要件で解説しています。

1人あたりの受検費の相場はいくら?——Web・紙・設問数で変わる

Web受検の費用相場は1人500〜700円が中心。市場全体ではWebは200〜700円、紙は400〜1,000円程度で、最低料金や初期費用、設問数によって総額が変わることを示した図。

私が関わっている範囲では、Web受検で1人あたり500〜700円が中心の価格帯です。市場全体ではWebで200〜700円、紙で400〜1,000円と幅がありますが、極端に安い単価には「最低料金」や「初期費用」が別建てになっていることが多く、少人数の会社ほど単価だけで比べると失敗します。

方式単価の目安向いている会社注意点
Web受検500〜700円前後PC・スマホが使える職場。拠点が分散している会社メールアドレスがない従業員の受検方法
紙(マークシート)Webより高め(回収・入力費が乗る)製造・現場職で端末がない職場回収・封入・返送の手間が社内に発生。個人情報の取り扱い
Web+紙の併用両方の費用が乗る本社はWeb、工場は紙など併用は割高になりやすい。まず片方に寄せられないか検討

設問数も単価に影響します。標準は厚生労働省推奨の職業性ストレス簡易調査票(57項目)で、職場環境の改善まで踏み込みたい会社は80項目版(新職業性ストレス簡易調査票)を選びます。80項目は集団分析の情報量が増える分、費用が上がる業者が多いです。初めて実施する会社は57項目で十分です。

面接指導の費用は?——1件3万円前後、件数は「100人で0〜2件」が肌感覚

高ストレス者から申出があった場合の医師の面接指導は、外部にスポットで頼むと1件3万円前後(意見書作成込み)が相場です。顧問産業医がいる会社は顧問料の範囲で行うことが多く、追加費用が出ないケースもあります。

件数の見込みは、現場の感覚をそのままお伝えします。100人の会社なら高ストレス者は10人前後、そのうち面接指導を申し出るのは0〜2人というのが実態です。ですから面接指導費は「100人なら年10万円」を見ておけば、ほとんどの年は収まります。高ストレス者の割合や判定基準は高ストレス者の判定基準とは?何点から・割合の目安にまとめています。

ただし、面接指導の予算を削りすぎるのは危険です。申出があったのに「予算がないから来年度に」と先送りした会社を見てきましたが、その間にメンタル不調が進んで休職に至れば、損失は面接指導3万円の比ではありません。受検費を数百円削るより、面接指導の枠を確保しておく方が、結果として安くつきます。

面接指導の費用の内訳(顧問・スポット・無料枠の比較、見積もりチェックリスト)はストレスチェック面接指導の費用相場で詳しく解説しています。

見積もりで差がつく5項目——単価以外を見る

顧問先の見積もりを見比べていると、単価が同じでも総額が数万円違うことがあります。差が出るのは次の5項目です。逆に言えば、この5つを確認しておけば「めちゃくちゃ高くなる」ことはありません。

  1. 最低料金・初期費用。「1人300円」でも最低料金3万円なら、30人の会社は実質1人1,000円。少人数ほど要確認。
  2. 集団分析の範囲。部署別の基本レポートは無料でも、詳細分析や報告会は別料金の業者がある。努力義務なので初年度は基本レポートで十分。
  3. 紙とWebの併用。両方に対応させると回収・入力費が二重に乗る。片方に寄せられないか先に検討する。
  4. 面接指導が含まれているか。「面接指導の医師の手配は別途」という業者が多い。含まれていない場合、1件3万円前後を別に見込む。
  5. 労基署への報告書・結果通知の形式。50人以上に必要な「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」の作成支援や、本人への結果通知(紙郵送か画面か)が別料金のことがある。

金額以外の比較軸(乗り換えの失敗例、委託前に聞くべき質問、部分委託)はストレスチェックの外部委託先の選び方をご覧ください。

規模別の総額はいくら?——30人・50人・100人・300人のシミュレーション

面接指導は1件3万円前後が相場。100人規模の会社では高ストレス者が約10人、そのうち面接指導の申出は0〜2人が目安で、年間10万円程度の予算確保が安心。予算を削りすぎると不調の悪化や休職につながるリスクがある。

受検費を1人600円、面接指導を1件3万円、高ストレス者を受検者の10%、申出をその1〜2割として計算した目安です。実際には最低料金や集団分析の有無で前後しますが、予算取りの出発点として使ってください。

従業員数受検費面接指導(件数×3万円)年間総額の目安(税別)備考
30人1.8万円(最低料金があれば2〜3万円)0〜1件(0〜3万円)約2〜6万円2028年4月から義務化。面接指導は地域産業保健センターも選択肢
50人約5万円多くて2件(6万円)約11万円私が相談を受けたときに伝えている現実的な数字
100人約6万円0〜2件(年10万円を確保)約16万円高ストレス者10人前後。労基署への報告書が必要
300人約18万円3〜6件(9〜18万円)約27〜36万円集団分析を部署別に活用する価値が出る規模

50人未満の会社への現実的な答え: 「受検で5万円、面接指導は多くても2件で6万円、合わせて年11万円(税別)あれば回ります」。2028年の義務化で相談に来られる会社には、この数字をお伝えしています。義務化のスケジュールと準備はストレスチェック50人未満の義務化はいつから?にまとめています。

費用は誰が負担する?——会社負担が原則、受検時間は労働時間

ストレスチェックは労働安全衛生法第66条の10で事業者に義務づけられた検査なので、費用は会社が負担します。受検費や面接指導の費用を従業員に負担させることはできません。面接指導を外部の医師に依頼する場合の交通費や通信費も同様です。

受検にかかる時間については、厚生労働省のQ&Aでは「労使で協議して決める」とされていますが、事業者の義務として行う検査なので、就業時間内に受検させ、賃金を支払うのが普通です。面接指導の時間も同じ考え方で、私の顧問先では業務時間内に設定しています。「休憩時間に受けておいて」という運用は、受検率が下がるうえに従業員の不信を招くのでお勧めしません。

項目負担・扱い
受検費・結果通知・集団分析会社負担
面接指導の費用(医師の報酬・意見書)会社負担
受検にかかる時間就業時間内・賃金支払いが原則的な運用
面接指導にかかる時間就業時間内・賃金支払いが原則的な運用
面接指導後に医療機関を受診する費用本人の健康保険(会社負担ではない)

助成金や無料枠で安くできる?——旧助成金は廃止、地域産業保健センターには限界がある

ストレスチェックの助成金や無料枠には限界があることを示す図。個社申請できた助成金は廃止、地域産業保健センターは予約や面談時期に課題があり、無料プログラムは自社対応の工数が必要なため、外部委託も選択肢になる。

「ストレスチェック助成金」を調べている方は注意してください。50人未満の事業場が個別に申請できたストレスチェック助成金は令和4年度末で廃止されました。現在は事業主団体(商工会議所や同業組合など)を通じて申請する「団体経由産業保健活動推進助成金」に統合されていますが、年度予算の上限に達すると受付が早期に終了する年もあり、個社が確実に当てにできる制度ではありません。

50人未満の事業場は、地域産業保健センター(地さんぽ)で面接指導を無料で受けられます。ただし現場で見ている限界が2つあります。ひとつは予約枠で、2028年の義務化で需要が増えれば、いまの体制では受けきれません。もうひとつは時間です。申出から面談まで日数が空きすぎて、本人の状態が変わってしまい、面接指導が「意味のない儀式」になりがちです。無料枠は「使えたら使う」程度に考え、確実に動ける受け皿を別に用意しておくのが安全です。

厚生労働省が無償配布している「ストレスチェック実施プログラム」を使えば、受検費をゼロに近づけることは可能です。ただし実施者(医師・保健師等)の確保、個人情報の管理、結果通知、高ストレス者の面接指導の手配はすべて自社で行う必要があり、担当者の工数を考えると、少人数の会社ほど外部委託の方が安くつくことが多いです。

費用を抑えながら「高ストレス者が出た後」に強くする——面接指導の受け皿を先に決める

費用の相談を受けていて感じるのは、多くの会社が受検の単価に注目しすぎて、高ストレス者が出た後の費用と段取りを決めていないことです。ストレスチェックの目的は面接指導と職場改善につなげることで、受検して終わりでは1人500円でも高い買い物になります。

産業医がいない会社でも、面接指導は外部の医師に1件単位で依頼できます。サンポチャートのスポット面接指導「サンポマッチ」は、待機している外部産業医の空き枠から従業員本人が日時を選ぶ仕組みで、基本料金は月1万円(税別・3か月単位)、面接指導は1件3万円(税別)・意見書込み。

ストレスチェックの実施時期に合わせて契約しておけば、高ストレス者が出た週に面談まで進められます。医師がいない場合の手配の流れはストレスチェック面接指導の医師がいない会社はどうする?もご覧ください。

産業医・産業保健の運用を整えたい方へ

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代表産業医 角田拓実
代表産業医 角田拓実サンポチャート

まとめ:単価ではなく「面接指導まで含めた総額」で予算を組む

  • ストレスチェックの費用=受検1人500〜700円前後+面接指導1件3万円前後。総額を左右するのは面接指導の件数。
  • 目安は50人で年11万円、100人で年16万円(税別)。面接指導は「100人で0〜2件・年10万円」を確保しておく。
  • 見積もりは最低料金・集団分析・紙とWebの併用・面接指導の有無・報告書の5項目で比べる。単価だけで選ばない。
  • 費用は会社負担、受検・面接指導の時間は就業時間内・賃金支払いが原則的な運用。
  • 旧ストレスチェック助成金は廃止。地域産業保健センターの無料面接指導は予約枠と時間差に限界がある。
  • 受検費を削るより、高ストレス者が出た後の受け皿を先に決める方が、結果として安くつく。

最後に一言。ストレスチェックの予算で本当に怖いのは「高すぎる」ことではなく、面接指導の枠を削りすぎて、不調に気づいた従業員を待たせることです。受検費の数百円の差より、面談1件3万円の枠を確保しておく方が、休職者を1人出したときの損失に比べればはるかに安い投資です。

あわせて読みたい:ストレスチェックの面接指導と運用

ストレスチェックの面接指導や実施・運用について、あわせてご覧ください。

  • ストレスチェック面接指導の完全ガイド|義務・流れ・就業措置
  • ストレスチェック面接指導の費用相場|スポット外部委託は1件1.5万〜3万円
  • ストレスチェックの外部委託先の選び方|失敗例と5つの比較ポイント
  • ストレスチェック義務化はいつから?50人未満は2028年4月1日から|準備ガイド
  • ストレスチェック面接指導の医師がいない|外部委託・スポット依頼を解説

よくある質問

Q1. ストレスチェックの費用は1人あたりいくらですか?

Web受検で1人あたり500〜700円前後が中心の価格帯です。市場全体では200〜1,000円と幅がありますが、単価が安い業者ほど最低料金や初期費用が別建てになっていることが多く、少人数の会社は総額で比較する必要があります。設問数(57項目か80項目か)や集団分析の範囲でも変わります。

Q2. 従業員50人未満の会社だと総額はいくらくらいですか?

50人なら受検費約5万円に、高ストレス者の面接指導を多くて2件(6万円)見込んで、年11万円(税別)程度が現実的な目安です。30人なら受検費2〜3万円に面接指導0〜1件で、年2〜6万円ほどです。2028年4月から50人未満も義務化されるため、この規模の予算取りの相談が増えています。

Q3. ストレスチェックの費用を従業員に負担させてもいいですか?

できません。ストレスチェックは労働安全衛生法で事業者に義務づけられた検査なので、受検費も面接指導の費用も会社が負担します。受検や面接指導にかかる時間も、就業時間内に設定して賃金を支払うのが原則的な運用です。面接指導のあとに医療機関を受診する費用は、本人の健康保険で負担します。

Q4. ストレスチェックの助成金は使えますか?

50人未満の事業場が個別に申請できた旧「ストレスチェック助成金」は令和4年度末で廃止されました。現在は事業主団体を通じて申請する「団体経由産業保健活動推進助成金」に統合されていますが、年度予算の上限で受付が早期終了する年もあり、個社が確実に当てにできる制度ではありません。地域産業保健センターの無料面接指導は使えますが、予約枠と日数に限界があります。

Q5. 高ストレス者の面接指導は別料金ですか?

多くの委託業者では受検費に面接指導は含まれておらず、医師の手配は別途です。外部の医師にスポットで依頼する場合は1件3万円前後(意見書作成込み)が相場です。顧問産業医がいる会社は顧問料の範囲で行うことが多く、追加費用が出ないこともあります。件数は100人の会社で年0〜2件程度が実態です。

参考: ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策(厚生労働省) / 面接指導を実施する医師の方へ・マニュアル一覧(厚生労働省) / 労働者健康安全機構(団体経由産業保健活動推進助成金・地域産業保健センター)

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代表産業医 角田拓実
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産業保健解説メディア「さんぽちゃーと」編集長。株式会社サンポチャート代表取締役。株式会社豊田自動織機専属産業医の後、東海地方を中心に50事業所以上の職場健康管理に関わっている。資格:日本医師会認定産業医/博士(医学)/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/健康経営エキスパートアドバイザー。著書に40代から始めるあなたの予防医学(自由国民社)、図解入門ビジネス職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本(秀和システム新社)がある。

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