「産業医の訪問を、毎月から隔月にできませんか。いまそんなに事例もなくて、費用も抑えたいんです」——顧問先からしばしばいただく相談です。
先に結論です。隔月にできます。条件は、会社が毎月1回以上、衛生管理者の巡視の結果と、衛生委員会の調査審議を経て決めた情報を産業医に渡し、会社が同意していることです(労働安全衛生規則第15条)。これを満たせば、産業医の巡視は「少なくとも2か月に1回」でよくなります。隔月でよいかどうかの線は、人数と事例の数です。50〜100人くらいなら隔月でも回りますが、100人を超えると事例の数が増え、いま気づけていない問題が隠れていると考えたほうがいいです。メンタルヘルス不調などが起きている会社は、隔月は気をつけてください。サンポチャートでは、回数を変えても顧問料はそのままで、訪問1回ごとの料金が回数分変わります。隔月にしても、顧問料の中で受ける就業判定や電話・メールの相談は変わりません。
私は名古屋で産業医をしている角田拓実です。この記事は、訪問の回数を変えたい会社に向けて、法令の条件、隔月でよい会社と注意する会社の線、契約と料金の変え方を書きます。巡視で何を見るかは産業医職場巡視の注意点は?現場に行かないと法令違反?、オンラインでできることはオンライン産業医は違法?オンラインでできること・訪問が要ることにあります。
産業医の訪問は隔月にできる?——法令の条件は「毎月の情報提供」と「会社の同意」

産業医の職場巡視は、原則として少なくとも毎月1回です。例外として、次の2つがそろえば少なくとも2か月に1回でよいとされています(労働安全衛生規則第15条)。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| ① 毎月1回以上の情報提供 | 会社が産業医に、毎月1回以上、次の情報を渡している。(1) 衛生管理者が行う巡視の結果(衛生管理者は少なくとも毎週1回巡視・安衛則第11条) (2) 労働者の健康障害を防ぎ、健康を保つために必要な情報で、衛生委員会の調査審議を経て会社が産業医に渡すと決めたもの |
| ② 会社の同意 | 巡視を2か月に1回にすることに、事業者が同意している |
ポイントは、隔月にするのは「訪問を減らす」ことではなく、毎月の情報提供で補う形だということです。衛生管理者の週1回の巡視の結果、長時間労働の状況(月80時間を超えた人の氏名と時間は、法令で産業医に渡す情報です・安衛則第14条の2)、健診の判定の進み具合などを、毎月まとめて渡します。この決めごとは衛生委員会で審議します。衛生委員会の回し方は衛生委員会とは?、産業医と衛生委員会の関係は産業医は衛生委員会に出席する義務がある?にあります。
隔月にしてよい会社——50〜100人で、いま事例が少ない

「隔月にしたい」という相談は、しばしばあります。理由は、費用の面と、いまそれほど事例が起きていないこと。その意味で隔月にするのは、法令の条件を満たせば問題ありません。
- 常時の人数が50〜100人くらい
- 休職者・長時間労働の面接指導・健診の重い所見が、ここ1年ほとんど出ていない
- 衛生管理者が毎週の巡視をして、結果を産業医に渡せる
- 訪問の日以外に、電話やメールで産業医に相談できる契約になっている
最後の項目が大事です。隔月にしても、困ったときに相談できる体制があれば回ります。訪問の日にしか話せない契約で隔月にすると、2か月のあいだ何も聞けなくなります。訪問の頻度の決め方の一般的な考え方は産業医の来社頻度はどう設定する?にもまとめています。
隔月にしないほうがいい会社——100人超と、メンタルヘルス不調が出ている会社


逆に、メンタルヘルス不調など、健康上の問題が起きている会社は、隔月は気をつけてください。面談が必要な人が2か月待つことになり、対応が遅れます。
もう1つの線は人数です。100人を超えてくると、事例の発生数が増えます。確率の話なので、人数が多いほど「いま気づけていない問題」が隠れている可能性が上がります。隔月にして静かに見えていても、実は健康不調による損失が出ているかもしれない、と考えたほうがいいです。
| 隔月でよい | 毎月のまま(または増やす) | |
|---|---|---|
| 人数 | 50〜100人くらい | 100人超。拠点が複数 |
| 事例 | 休職・面接指導・重い所見が、ここ1年ほとんどない | メンタルヘルス不調が出ている。面接指導の対象者が繰り返し出る |
| 業務 | 事務・営業が中心 | 有害業務(化学物質・粉じん・騒音・交替勤務)がある |
| 情報提供 | 衛生管理者の巡視と月次の情報を、毎月渡せる | 衛生管理者の巡視が回っていない |
| 相談の体制 | 訪問日以外も電話・メールで相談できる | 訪問の日にしか話せない |
増やす側の目安は、月80時間を超える残業の人が毎月出る、休職者が同時に複数いる、有害業務の多い工場がある、のどれかです。週1回など大きく増やすときの考え方は産業医の派遣はできる?週1日の費用、拠点が複数あるときの回り方は本社50人以上・支店50人未満の産業医はどうする?にあります。
回数を変えるときの契約と料金——顧問料はそのまま、訪問1回の料金が回数分


サンポチャートでは、訪問の回数を変えても顧問料はそのままで、訪問1回ごとの料金が回数の分だけ変わります。顧問料は「訪問の日以外も相談できる分」、訪問料は「現場に来る分」と分けているからです。
| 50〜99人の会社の例(税別) | 顧問料 | 訪問料 | 月の合計 |
|---|---|---|---|
| 毎月訪問 | 月3万円 | 5万円×毎月 | 月8万円 |
| 隔月訪問 | 月3万円 | 5万円×隔月 | 訪問のある月8万円・ない月3万円 |
| 訪問なし(50人未満の形) | 月3万円 | 必要なときだけ1回5万円 | 月3万円〜 |
訪問1回は60分(50〜99人)で、職場巡視・衛生委員会・面談・健診の就業判定を、訪問の時間内で行います。100人以上の顧問料と、週1回など回数を大きく増やすときの額は、人数に合わせてお見積りします。人数ごとの額は産業医サービスの料金プランで見られます。見積もりを比べるときの見方は産業医の見積もりはどこを見る?にまとめています。
あわせて読みたい:産業医を探す・頼む・替える
産業医の探し方・費用・契約・交代について、あわせてご覧ください。人数ごとの料金の目安は産業医サービスの料金プランで見られます。
- 産業医の探し方と選び方|5つのルートと7つのチェック
- 産業医の職場巡視の注意点
- 産業医が衛生委員会に来ないとき
- 産業医の見積もりはどこを見る?
- 産業医の費用・報酬相場|月3万円〜の実態
- 産業医の派遣はできる?週1日の費用
- 本社50人以上・支店50人未満の産業医はどうする?
よくある質問
Q1. 隔月にすると、法令違反になりませんか?
条件を満たせば違反になりません。会社が毎月1回以上、衛生管理者の巡視の結果と衛生委員会で決めた情報を産業医に渡し、会社が同意していれば、巡視は少なくとも2か月に1回でよいと定められています(労働安全衛生規則第15条)。
Q2. 50人未満の会社は、訪問なしでもよいですか?
50人未満の事業場に産業医の選任義務はないので、巡視の回数の決まりもかかりません。訪問なしの顧問(月3万円・電話とメールの相談込み)で、必要なときだけ訪問や面談を頼む形があります。
Q3. 隔月にしたら、面談や就業判定も減りますか?
サンポチャートでは減りません。顧問料の中で受ける就業判定や、電話・メールの相談は、訪問の回数と関係なくお受けしています。面談は訪問の日かオンラインで行います。
Q4. 隔月から毎月に戻すときは、どうすればいいですか?
契約の訪問の頻度を直すだけです。メンタルヘルス不調が出てきた、面接指導の対象者が増えた、拠点が増えた、というときは、早めに戻してください。
Q5. 衛生委員会は隔月でもよいですか?
衛生委員会は毎月1回以上の開催が会社の義務です(労働安全衛生規則第23条第1項)。産業医の巡視を隔月にしても、委員会は毎月開きます。産業医が来ない月は、議事録を送って意見を返してもらう形にしてください。
まとめ
- 隔月にできる。条件は、毎月1回以上の情報提供(衛生管理者の巡視の結果+衛生委員会で決めた情報)と、会社の同意(安衛則第15条)
- 隔月でよいのは、50〜100人で事例が少なく、訪問日以外も相談できる会社
- 100人超、メンタルヘルス不調が出ている、有害業務がある会社は、隔月は気をつける。気づけていない問題が隠れている
- サンポチャートは顧問料そのまま、訪問1回5万円×回数。隔月でも顧問料の中(就業判定・電話・メール相談)は変わらない
- 隔月にするときは、契約書と衛生委員会の記録の両方に残す。衛生委員会は毎月開く
出典: 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)第11条・第14条の2・第15条・第23条。










