産業医は会社の犬ですか?現役医師が解説します。

産業医は会社の犬ですか?現役医師が解説します。

こんにちは。産業医の角田拓実です。

今回はネットなどで時々見かける「産業医は会社の犬なのですか?」という噂に関して解説を行っていきます。

結論から言うと産業医は会社から独立した中立性のある存在です。

しかしながら、一部では「会社の犬」と言われてしまっていることも事実です。今回はその理由と実態に関して説明をします。

なぜ会社の犬と噂されてしまうのか?

産業医が会社の犬といわれてしまう理由

なぜ産業医は会社の犬と言われてしまったのでしょうか?

産業医は職場の健康管理・リスク管理のために職場に雇われたり仕事を請け負っています。したがって下記のような事項に留意する必要があります。

産業医が会社の犬と言われてしまう理由の一つとして産業医の報酬の拠出が「会社から支払われる」という事実があります。

産業の報酬は労働組合や国の税金から拠出されているわけではないのです。

どうしても産業医が会社からお金を貰っているので「産業医は会社に従わざるを得ない」と考えてしまうことは合理的です。

私も産業保健の分野の専門家でなければそのように考えてしまうことも納得できます。

産業医の独立性・中立性に関して

産業医の独立性・中立性を保ち従業員に疑念を抱かせない

しかしながら、産業医の仕事を行う上で会社と従業員の間において独立性・中立性を大切にするべきとされています。

会社側によることも良くありませんし、従業員側によりすぎることも良くありません。

あくまで、仕事と従業員がうまく付き合えるように調整をしていくことが求められます。

このスタンスがはっきりと見えなければ疑惑の念を抱かせてしまうことに繋がってしまうのです。

産業医の独立性を担保できる理由

産業医の独立性を担保できる理由

一方で、産業医は医師だからこそ独立して仕事ができるとも考えられます。

医師はその専門性・国家資格において経済的な独立が一定程度確保されています。産業医先の企業にクビを宣告されたとしても別の病院や企業などで仕事をすることができます。

例えば会社に非倫理的な行為を行うように指示されたとします、その際に当然一医師として断ることが可能です。この時経済的に独立している医師はとても有利に立ち回れます。

産業医が臨床医としての兼務が許可されている点でも独立性の向上につながっていると言えます。

経済的に独立していなかった場合、雇用が失われる関係から会社に対して弱く出なければならないこともあり得ます。

この理由を聞くと「確かに医師であれば独立した立場にいることができるかもしれないな」と納得していただけることが多い印象にあります。

まとめ

ネットで見かけることがある「産業医は会社の犬なのか?」という問題に解答をしていきました。「医者である必要があるのか?」と聞かれることもある産業医ですが、案外国家資格という点で独立性が担保されています。

今回の記事は参考になったでしょうか?さんぽちゃーとでは職場の悩みや産業医・産業保健師への疑問に関して解説を行っています。引き続きさんぽちゃーとをよろしくお願いいたします。

産業医/健康経営エキスパートアドバイザー 角田拓実