産業医って医者じゃないの?現役産業医が資格に関して解説します。

産業医って医者じゃないの?現役産業医が資格に関して解説します

「産業医って医者じゃないの?」という質問を受けることがあります?

記事の始めから結論になってしまいますが「産業医は医師免許を持った医師です」。

産業医は、働く人々の健康を守るために医学的な知識とスキルが必須の専門職です。

この記事では、現役の産業医が、産業医の資格取得に必要な条件や難易度について、わかりやすく解説していきます。

産業医の資格取得に必要な条件と難易度

「産業医って、会社の健康診断でたまに見かけるけど、実際どんな仕事をしているの?」 「病院のお医者さんとは違うの?」 「資格を取るには、一体どんな勉強をしているんだろう。」

多くの人が、産業医という仕事について、漠然としたイメージしか持っていないのではないでしょうか?

この記事では、現役の産業医である私が、産業医になるために必要な資格や、その取得難易度について、わかりやすく解説していきます。

医学部卒業の必要性について

まず、結論から申し上げますと、産業医になるためには医師免許が必須です。

「えっ、やっぱりお医者さんじゃないとダメなの?!」と思われた方もいるかもしれません。

産業医になるためには、まず病院で診察などを行うことができる医師になる必要があるのです。

医師免許は、人の命と健康を守るために、高度な専門知識と技術が必要とされる資格です。そのため、大学医学部医学科に入学し、6年間の医学教育を受けた後、国家試験に合格しなければなりません。

そして、医師免許を取得した後、初めて産業医を目指すことができるのです。

では、なぜ産業医になるのに医師免許が必要なのでしょうか?それは、産業医の仕事が、働く人々の健康を医学的な専門知識に基づいて守るという、非常に重要な役割を担っているからです。

例えば、皆さんが普段働いている職場にも、様々な健康リスクが潜んでいます。

重いものを運んだり、同じ姿勢を長時間続けたりすることで、腰痛を引き起こす可能性があります。また、パソコン作業などによる目の疲れや肩こり、精神的なストレスなども、軽視できない問題です。

健康問題に対して、適切なアドバイスや治療を行うためには、医師免許を持っていることが大前提となるのです。

資格取得に関わる研修内容の詳細

医師免許を取得した後、産業医として働くためには、さらに研修や試験を受けるなど産業医としての資格を得る必要があります。

産業医になるための条件

・産業医に関する研修を受けた者(産業医科大学や日本医師会による資格が存在しています。日本医師会認定産業医が代表的)

・産業医科大学を卒業した者

・労働衛生コンサルタントの資格に合格した者

・大学で労働衛生に関わる大学教員

特に一般的な「日本医師会認定産業医」は産業医研修では、労働安全衛生法などの法律、職場における病気の予防や健康管理に関する知識(労働医学)、産業保健の実務など、産業医として働くために必要となる幅広い知識を学んでいきます。

これらの研修を通して、労働者の健康を守るための実践的なスキルを身につけていきます。

産業医となるための試験は存在する?

医師免許を取得し、所定の産業医研修を修了すれば、基本的には産業医になることができます。

しかしながら、資格一覧で紹介した労働衛生コンサルタントに関しては国家試験として高度な知識が求められます。合格率は50%を切るため十分な知識、実務経験が求められます。

産業医としてステップアップを考える医師が受験をすることが多いです。労働衛生コンサルタントの資格をも持った産業医は労働衛生に関わる知識をより備えている可能性が高いでしょう。

医師以外の職場の健康管理に関わる業種

産業医・医師以外の職業は職場の健康管理へのサポートを行わないでしょうか?

答えは「NO」です。

職場の健康管理には様々な職種が協力して担当していきます。具体的には産業保健師・看護師・公認心理士・キャリアコンサルタント・理学療法士・管理栄養士・心理カウンセラー・産業カウンセラーなど非常にたくさんの職種が関与していきます。

必ずしもすべての専門職が職場の支援を行うわけではありませんが、職場の健康課題に合わせて依頼を行うことが多いです。

産業構造が変化し様々なトラブルが増加している現代では産業医だけでカバーできない領域が増えてきているのです。

まとめ

産業医になるには、医師免許取得後、「産業医講習会」を受講するなど資格を取得する必要があります。

一方で、産業医科大学を卒業する・労働衛生コンサルタントの国家資格に合格するなど、資格を得るパターンなどいくつかの条件も存在しています。

産業医が医師でなければならない一方、様々な職種の関与が必要になってきている時代です。トラブルに応じた専門家も関与も検討しながら職場の健康管理を進めていただければと考えます。

参考