労働衛生コンサルタントを産業医の資格として持つ先生は優秀なの?現役医師が説明します。

労働衛生コンサルタントを産業医の資格として持つ先生は優秀なの?現役医師が説明します。

こんにちは。産業医の角田拓実です。

今回は質問を受けることが多い「労働衛生コンサルタントの資格を持っている産業医って優秀なの?」という質問に回答していきます。

労働衛生コンサルタント自体聞きなれない言葉であることが多いと思いますが、産業医の先生がPRしてくる場合もあります。

結論からお話しすると労働衛生に関す一定の能力は担保されている。一方で産業医としての能力を担保するものではない」と言えるでしょう。

労働衛生コンサルタントの意味を理解して産業医の様子を確認できるようにしておきましょう。

産業医とはどんな仕事?法令、実務、活用方法に関して徹底解説。

そもそも労働衛生コンサルタントとは?

労働衛生コンサルタントに関する要約画像

労働衛生コンサルタントは職場の健康管理や改善の専門家として一定水準を超えて優秀なものが合格できる国家資格です。

職場にもいるであろう衛生管理者の最上位資格であると認識していただければわかりやすいでしょう。

衛生管理に関わる法律等の筆記試験や専門家による口述試験に合格する必要があります。

合格率は25%ほどといわれており難関の部類に入るかといわれています。

労働衛生コンサルタントの資格を取得しているものは労働衛生に関わる知識が一定程度保障されていると考えてよいと考えます。

労働衛生コンサルタントはどのような分野が専門ですか?

労働衛生コンサルタントは職場の衛生状況を確認しその問題点を把握し解決策を提示する専門家といわれています。

近年トピックスである化学物質の管理のサポートや粉塵や放射線などの有害業務に関して適切な対応策や対処方法を専門的な目線からアドバイスを行います。

産業医は職場での健康管理に特化している存在で継続的に職場とつながりを持ち対応を行う存在ですが、労働衛生コンサルタントは基本的には職場に対してはスポット対応で業務を行うとされています。

一見似たような性質を持つ産業医と労働衛生コンサルタントですが実は性質がことなるのです。

労働衛生コンサルタントの仕事自体は産業医とは異なる仕事だと理解しておくとよいでしょう。

労働衛生コンサルタントの資格は産業医の資格として活用できる?

労働衛生コンサルタントは日本医師会認定産業医の資格と同様に産業医の資格として利用することができます。

産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。
(労働安全衛生規則14条 第2項)
法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修で
あつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにお
いて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

日本医師会認定産業医の資格のように更新しないと失効するものではないため、永続的な産業医資格として活用している先生も少なくありません。(なお、日本医師会認定産業医が失効したとしても産業医の資格は失われません。)

労働衛生コンサルタントの産業医は優秀なのか?

労働衛生コンサルタントの資格を持った産業医は優秀でしょうか?結論は「一定の知識レベルが担保された産業医」として認識できると考えられます。

日本医師会認定産業医は講習会を修了することで単位が与えられ資格が授与されるのに対し、労働衛生コンサルタントは「国家試験を受験し合格する必要がある」ため労働衛生に関わる一定の知識を能動的に学習する必要があるからです。

しかしながら、あくまで「試験は試験」ですので「産業医としての能力や人格」は含まれません。

実際の実務に関しては「経験、知識、仕事対する取組み方」によって大きく左右されます。

産業医を新たに選任する際は、臨床の経験や専門医の有無と同様に評価の一基準として評価する必要があるでしょう。

まとめ

労働衛生コンサルタントは労働衛生に関わる一定の知識が担保されていると考えてよいでしょう。一方で、試験の突破を持って資格取得に至るため実務の能力や人格は評価されていません。

しかしながら、産業医の選任の際には十分評価をしうるポイントになります。産業医を選任する際は資格を含め、面談・人格・条件に留意して決定していただくのが望ましいでしょう。

産業医/労働衛生コンサルタント 角田拓実