ドライアイは職場でどう予防する?現役産業医が解説します。
こんにちは。産業医の角田拓実です。
今回は職場巡視で相談されることが多い「職場でドライアイがつらいけどどうすればいですか?」という質問に答えていきます。
オフィスだけでなく、精密な部品をチェックする工場でも問題になる症状です。対策を練って働きやすい職場を作っていきたいですね。
ドライアイの症状は?
ドライアイの症状は主に
目の渇き
ゴロゴロ感
目のかすみ
目が疲れる
などが知られています。
仕事をするうえで特に気になる症状ですので、仕事の生産性を一気に下げてしまう要因の一つです。このような症状が毎日続くためトータルの生産性の消失はかなり大きいものになると考えられます。
日本の企業を対象とした研究ではメンタル、筋骨格系に次ぐ第3位の経済損失があるといわれています。(目の症状全般に関して)参考:Journal of Occupational and Environmental Medicine 60(5):p e273-e280, May 2018.
職場でできるドライアイ対策の特徴4つ
そんな少しずつ、確実に職場の健康を損なっていくドライアイを同対策していけばいいでしょうか?
ドライアイを引き起こす原因は様々ですので、一つずつ対策を打っていくことが大切です。少しずつの緩和を積み重ねていくことで職場全体の環境を底上げしていきましょう。
パソコンの設定を見直してドライアイ予防
パソコンの設定や置き方は非常に大切です。まずは明るさを調整してまぶしすぎない設定にすることが大切です。また電気をしっかり明るくすることで手元の照度を確保することが大切です。(令和4年より事務所則にて事務作業で求められる照度が上方修正されています。)
引用:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000905329.pdf
またグレアと言って電気が画面を反射してちらつくことも目の疲労をためる原因になるためうまく位置調整をすることが大切です。必要であればグレア対策のフィルムを購入することも対策になります。
エアコンの風向きや加湿器で湿度をコントロール
エアコンのエアーを浴びることは目の乾燥を直接的にドライアイを引き起こします。エアコンの風向きに注意をして職場のデスクを配置することも改善の一助になります。
また、加湿器を用いて部屋を加湿させることで目の過剰な感想を防ぐことが可能です。(加湿の目安は事務所則にて40%~70%と言われています。温湿度計を設置して目安にしてみるとよいでしょう。)
産業医としてはCO2の測定が可能な計測器を置いておくとさらに望ましいと考えます。
長時間作業時のこまめな休憩と効果的なリフレッシュ方法
継続しての業務はどうしても目に負担がかかってしまいます。休憩の目安としては1時間に5~10分ほどの休憩をとるとよいといわれています。
もちろん「仕事が忙しいしそんなに休憩をとることはできない」と言われることも少なくありません。そのような場合は少しでもいいので体を動かし見てる・ストレッチを行ってみるだけでも効果はありますのでぜひ取り入れてみてください。
また、家庭での時間を有効活用することも大切です。
入浴をきちんと行う
ストレッチ
運動
睡眠時間の確保
がキーワードになります。
併せて休憩時間はスマートフォンの使用は避けることもオススメです。
産業医に相談できる内容
産業医にドライアイの相談をすることは重要でしょうか?答えはイエスです。
職場従業員から職場にドライアイの相談を行ってもなかなか取り合ってもらえないことも多いです。
産業医に相談することで職場巡視の際にチェックをしてもらったり「安全衛生委員会」での議題に挙げて改善方法を検討することも可能です。
まとめ
ドライアイは単に目の不快感だけでなく、職場での生産性低下の大きな要因です。
個人・職場としてしっかり対策することが働きやすい職場環境に繋がっていきます。
困った際は職場の産業保健職に相談することが改善の一助になるでしょう。
それでは本記事を参考にして働きやすい職場作りを目指していただければ幸いです。
産業医/労働衛生コンサルタント 角田拓実
Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in Japanese Employer. Nagata, Tomohisa MD et al.