産業医のパトロールって必要?現役産業医が解説を行います。

産業医のパトロールって必要?現役産業医が解説を行います。

あなたは、職場の環境が、従業員の健康や仕事の質に影響を与えることをご存知ですか?

職場環境の改善は、企業の生産性向上、従業員のモチベーション向上、さらには企業イメージの向上にも繋がる重要な要素なのです。

本記事では、職場環境の専門家である産業医による「産業医パトロール=職場巡視」に焦点を当て、その実態やメリット、依頼前に確認すべきことなどを詳しく解説していきます。

あなたの職場にも潜むかもしれない課題と、その解決策を見つけるためのヒントが満載です。ぜひ、最後まで読んでみてください。

産業医パトロール=職場巡視でわかること

産業医巡視は職場パトロールや職場巡回など様々な言葉で説明されることがあります。これは会社の規定によって異なることがあります。

法令上は職場巡視と呼ばれており産業医を選任した場合は1か月に1度以上(条件によっては2カ月に1回以上)巡視をする必要があります。

職場環境の改善点

例えば、職場がオフィスであった場合電気が暗かったり、暑すぎたり寒すぎたりしたら、集中力が続かなくなってしまうでしょう? 逆に、ちょうど良い明るさで、快適な温度だったらどうでしょうか? きっと、集中して仕事に取り組めるはずです。

職場巡視では、職場が働く人にとって安全で快適な場所かどうかをチェックします。 具体的には、部屋の明るさや温度、空気の綺麗さなどを確認します。 もし問題があれば、会社に改善を促します。

工場等であればより一層知識や経験が大切になります。化学物質や粉塵などにも注意を払っていくのが産業医です。

健康診断後のフォローアップ体制

産業医巡視では、健康診断で「再検査」や「要治療」と診断された人が、きちんと病院を受診しているかをチェックします。

特に産業医面談を行った従業員が実際に問題無く働けているかを確認することは大切です。

また、健康診断の結果を見る際に「突然倒れてしまった場合、高所などの命に関わる場所で就業していないか?」といった点をチェックします。

職場の現場を知っておくことで健康診断後のフォローにも役に立つのです。

長時間労働の実態

産業医パトロールでは、働く人たちが長時間労働になっていないか、適切な労働時間で働けているかを調べます。

産業医は職場の残業状況に関して通知はされていますが、職場の状況を実際に観察することでどの程度の残業までが許容されるか?といったポイントを検討します。

もし、長時間労働が常態化している場合は、会社に残業を減らすための対策を促します。

産業医パトロール=職場巡視のメリット

産業医パトロール=職場巡視は、働く人にとってより良い環境を作るだけでなく、実は会社にとってもたくさんのメリットがあります。今回は、その中でも特に大きな3つのメリット、「企業の生産性向上」「従業員のモチベーション向上」「企業イメージの向上」について、詳しく解説していきます。

企業の生産性向上

工場で働く人にとって、適切な照明や温度、空気の清浄度は非常に重要です。暗くて見づらかったり、暑すぎたり寒すぎたりすると、集中力が低下し、ミスに繋がってしまうこともあります。

また、粉塵が多い環境では、呼吸器への負担が大きくなり、健康を害するリスクも高まります。産業医巡視では、このような職場環境のチェックを行い、必要があれば会社に改善を促します。その結果、従業員の健康が守られるだけでなく、集中力や作業効率も向上し、企業全体の生産性向上に繋がるのです。

このように、産業医パトロールは、職場の作業環境を整えたり(作業環境管理)、仕事の仕方(作業管理)に関して適切な対策を講じることで、企業全体の生産性向上に大きく貢献します。

従業員のモチベーション向上

産業医巡視では、産業医が定期的に職場を訪問し、従業員の話を聞く機会を設けることがあります。

例えば、デスクワーク中心で運動不足気味の従業員には、軽いストレッチや運動の習慣をアドバイスしたり、長時間労働が続く従業員には、業務の効率化や休暇取得の推奨など、具体的なアドバイスを行うこともあります。

医師が巡視をすることにより従業員にとって「自分のことを真剣に考えてくれている」という安心感に繋がり、会社への信頼感や愛着を育むことに繋がります。

また、産業医パトロールによって、職場環境の改善や健康に関するセミナー開催など、従業員にとってより働きやすい環境が整えられることで、従業員の仕事に対するモチベーションもさらに向上するでしょう。

企業イメージの損失を防ぐ

近年、企業にとって、従業員が働きやすい環境を整え、従業員の満足度を高めることは、企業としての重要な責任として認識されるようになってきました。 給与や待遇面だけでなく、企業理念や働き方改革への取り組みなど、様々な側面から企業の姿勢が問われる時代と言えるでしょう。

産業医巡視を行わなかった場合、労基署から指摘や指導を受けることがあります。これは産業医巡視が労働安全衛生法で定められた義務だからです。

労基署から指導を受けた場合企業イメージの損失を招いてしまうことがあります。職場巡視は法令で定められたとおりに行っていくことが望ましいです。産業医の訪問をしっかり行わせ、名前貸し産業医にならないように注意をしましょう。

まとめ

産業医パトロール=職場巡視とは、産業医が職場を訪問し、従業員の健康や安全を守るための取り組みです。

職場環境のチェックや改善提案、従業員への健康相談などを行い、企業の生産性向上、従業員のモチベーション向上、企業イメージ向上に貢献します。

また重要な事項としては産業医巡視は法令上の義務ですので確実に実施することが大切です。職場の安全衛生の管理のために徹底していただければ幸いです。

産業医/健康経営エキスパートアドバイザー 角田拓実