「20歳の男性社員が、うつ病と診断された休職診断書を持ってきました。1ヶ月の休職を要すると書かれています…」
人事担当者の方からこんなご相談をいただいた時、私はいつも背筋が凍ります。なぜなら、ここでの対応を一歩間違えると、従業員の体調を著しく悪化させ、最悪の場合は自殺という悲劇を招きかねないからです。そして企業は、遺族からの民事訴訟、刑事罰、社会的信用の失墜というレベルの経営の根幹を揺るがすリスクに直面します。
私は長く現役の産業医として、こうした場面に何度も立ち会ってきました。本記事では、メンタル不調による休職診断書が提出された日に、人事担当者の方がやってはいけない3つのことを、実際の失敗事例とともに解説します。
休復職判定、ラインケア研修、緊急時の対応プロトコル整備まで、現役産業医と保健師チームが伴走支援します。
失敗事例:なぜ事態が悪化したのか

冒頭の20歳の男性社員のケース。彼の上司は、以前から本人の様子に気づいていました。顔色が優れず、欠勤が増え、業務上のミスも増加していた。普段は真面目な性格でしたが、徐々に仕事が遅くなり、診断書を提出する直前には挨拶もままならず、身だしなみも乱れている状態だったといいます。
しかし上司は、これらの変化を「プライベートな問題かもしれない」と判断し、様子を見ていました。さらに問題だったのは、診断書が提出された後、「業務の引き継ぎのため」と称して1週間の出勤を指示し、直ちに休職させなかったことです。
この事例には、3つの致命的な間違いが隠れています。
やってはいけない①:業務引き継ぎ理由の勤務継続

休職診断書が提出される状況は、本人の心身が限界に達している危機的状態です。専門医(精神科医・心療内科医)が「療養が必要」と判断したサインは、企業として絶対視すべき指示です。
「あと1週間だけ引き継ぎを」――この一言が、本人の自殺リスクを高める可能性があります。実際、勤務継続を強いた結果、メンタル不調による自死に至り、企業が数億円規模の損害賠償責任を負ったケースは複数報告されています。中小企業では倒産に至る可能性も否定できません。
◎ 正しい対応
- 診断書受領後、即日休職開始を原則とする
- 業務の引き継ぎは本人不在で代行 or 短時間ベース(産業医に相談の上)
- 「あと少しだけ」という上司の声かけを許さない仕組みを作る
やってはいけない②:プライベート問題と自己判断

「プライベートな問題かもしれない」――これは、ラインケアの欠如を象徴する判断です。
ラインケアとは、管理監督者(上司)が部下の心身の健康状態に配慮し、異変を察知した際に早期に専門家(産業医・人事労務担当者・産業保健師)へ繋ぐ役割を果たすこと。多くの企業で「研修はやっている」と回答される領域ですが、実際に機能しているかは別問題です。
メンタル不調のサインは、必ず職場で現れます:
- 顔色が悪い
- 欠勤・遅刻・早退の増加
- 業務能力の急激な低下
- 挨拶ができない
- 身だしなみの乱れ
- 普段との会話量の変化
これらを「プライベートの問題」と片付けず、早期に専門家へ繋ぐ仕組みが必要です。
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- 管理職向けラインケア研修を年1回以上実施
- 「相談ライン」の整備(人事・産業医・産業保健師の3層)
- サインに気づいた段階で速やかに人事 or 産業医へ報告するフロー
やってはいけない③:上司の単独判断

冒頭の事例で最も問題だったのは、上司が単独で「もう少し働いてもらおう」と判断したことです。
メンタル不調への対応は、医療的・法的・労務的な複合判断が必要です。これを上司一人が抱え込むのは、本人のためにも組織のためにも危険です。
◎ 正しい対応フロー
- 診断書受領 → 即日 人事へ報告
- 人事 → 産業医・産業保健師へ即時相談
- 原則「即日休職開始」を指示
- 業務引き継ぎ:本人不在で代行 or 短時間ベース
- 休職中の連絡ルール明示(頻度・方法・窓口)
- 復職判定は産業医面談が必須
このフローを社内ルールとして文書化し、全管理職に周知することが、組織として一貫した対応を取るための最低条件です。
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事後対応も大事ですが、本来は早期発見・早期対応で重症化を防ぐのが最善です。
1. ラインケア研修の徹底
部下の心身の健康状態に「気づける」管理職を増やすこと。年1回の研修だけでなく、四半期ごとの事例共有が効果的です。
2. 「相談ライン」の整備
産業医・産業保健師・人事担当者の3層で、それぞれが対応可能な相談窓口として機能する体制。社員にも「困ったらここに相談する」が明確になっている状態を作ります。
3. 即日休職対応ルールの社内浸透
「休職診断書提出 → 原則即日休職」という対応ルールを、上司・人事・経営層の全員が共有していること。「業務都合で延長」「本人意向で延長」は基本的に許さない。例外は産業医判断のみ。
まとめ:メンタル対応は「組織の最終砦」
メンタル不調による休職対応は、本人の生命・健康を守るだけでなく、組織として倒産リスクを回避するための最終砦です。
これらを組織の仕組みで防ぐことが、これからの人事担当者・経営者にとって不可欠なスキルです。
サンポチャートでは、ラインケア研修、休職対応マニュアル整備、緊急時の即日産業医面談調整まで、メンタル対応の体制づくりを一気通貫でご支援します。お気軽にご相談ください。
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