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産業医・弁護士の視点でメンタルヘルス体制を整える蔵重大樹先生の横顔:産業医インタビュー「産業医の横顔」Vol.10

2026 5/17
お知らせ 産業保健全般
2026年5月17日

Profile:蔵重 大樹 先生:Advancing Healths株式会社 代表医師。
大阪を中心とした関西圏で、嘱託産業医業務、健診後対応、長時間労働者面談、メンタルヘルス対応、休職・復職対応など、企業の産業保健体制を支援している。産業医として企業の現場に関わってきた経験に加え、弁護士資格も有しており、医学的判断だけでなく、就業上の配慮、社内共有、記録の残し方、将来的な紛争リスクまで見据えた支援を強みとする。

目次

医学だけでは、メンタルヘルス体制は整わない

―― 蔵重先生が産業医として、特に力を入れている領域を教えてください。

蔵重先生:
私が力を入れていることの一つに、メンタルヘルスの面談があります。

産業医としてまず重要なのは、医学的な判断です。
通院が必要な疾病なのか、職場でどのような配慮が必要なのか。そこを見極めることは、産業医の大切な役割だと思っています。

―― メンタルヘルス面談というと、どうしても「医学的に休ませるべきか」「働けるか」という判断に注目が集まりやすいですよね。

蔵重先生:
そうですね。
ただ、私は医学だけに振り切ってはいけないと思っています。

医学的に安全側の意見を述べることはできます。もちろん、従業員を守ることは非常に大切です。
一方で、企業は事業を継続し、利益を追求していかなければならない存在でもあります。

―― 従業員を守ることと、企業活動を成り立たせること。その両方を見ないといけない。

蔵重先生:
はい。
従業員を守りながら、企業や職場の実情を踏まえて、現実的な配置や対応を考えることが重要だと思っています。

そこに専門的な意見を述べられるのは、産業医しかいない場面も多いと思います。
そういう意味で、産業医は大きな責任を持っていると感じています。

従業員を守ることと、企業のリスクを減らすことは対立しない

―― 蔵重先生の特徴として、産業医でありながら弁護士資格もお持ちという点があります。メンタルヘルス体制を考えるうえで、この視点はかなり重要ですよね。

蔵重先生:
そうですね。
メンタルヘルス対応では、従業員の特性や状態を理解して接することが大切です。

ただ同時に、対応や記録を適切に行わなければ、結果的に紛争に発展することもあります。

―― 面談の時点では、まだ大きな問題に見えていなくても、後から労災や民事上の問題につながることがある。

蔵重先生:
はい。
労災であっても、企業に損失が生じることがあります。
また、労災認定されたからといって、民事的な問題がすべて解決するわけではありません。

場合によっては、その後に民事的な手続きへ移行することもあります。そうなると、企業にとって大きな労力と費用がかかります。

―― つまり、メンタルヘルス対応は「本人への配慮」だけではなく、企業として説明できる対応を積み重ねていくことも大切になるわけですね。

蔵重先生:
そう思います。
将来的な見通しを持った医師が、初期段階から適切に関与することは非常に重要です。

この場面では、通常、弁護士が最初から関与しているわけではありません。
問題が大きくなる前の段階で関与しているのは、むしろ産業医です。

―― そこに「法律にも強い産業医」としての価値がある。

蔵重先生:
はい。
メンタルヘルス対応のように、大きなリスクをはらんでいる局面に、初期段階から関与できる医師として、法律に強いことは企業のリスク管理にとって価値があるのではないかと思っています。

統括産業医として、企業の産業保健体制をどう整えるか

―― 蔵重先生は、個別の面談だけでなく、企業全体の産業保健体制を整える視点も大切にされていますよね。

蔵重先生:
はい。
メンタルヘルス対応は、個別の面談だけで完結するものではないと思っています。

一人ひとりの面談ももちろん大切ですが、企業としてどのような流れで相談を受け、誰が判断し、どこまで情報を共有し、どのように記録を残すのか。
そこが整っていないと、対応が属人的になってしまいます。

―― 産業医が複数いる企業や、拠点が多い企業では、特にその視点が重要になりそうです。

蔵重先生:
そうですね。
産業医が複数いる場合、先生ごとに判断や記録の考え方が違うと、人事側も現場側も対応に迷ってしまいます。

統括産業医の役割は、個別の判断をするだけではなく、企業全体として一貫した産業保健の仕組みを整えることだと思っています。

―― 「このケースはどう判断するか」だけでなく、「会社としてどう対応する体制にするか」を見るわけですね。

蔵重先生:
はい。
面談の実施、意見書の作成、職場への共有、復職後のフォロー、記録の残し方まで、企業として再現性のある流れにしておくことが重要です。

メンタルヘルス対応は、担当者の経験や勘だけに頼ると、どうしても対応にばらつきが出ます。
だからこそ、産業医が医学的な視点を持ちながら、企業の体制づくりにも関与することが大切だと思っています。

産業医の意見は、医学的に正しいだけでは足りない

―― 産業医の意見は、医学的に正しいことが前提です。ただ、企業の現場では、それだけでは動かない場面もありますよね。

蔵重先生:
そうですね。
医学的に見れば、安全側に倒した意見を述べることはできます。

ただ、それが企業や職場の実情をまったく踏まえていなければ、現場で実行することが難しくなります。

―― 主治医の診断書や医学的な観点だけをもとに、かなり保守的な就業制限が出ることもあります。一方で、職場には人員配置や業務継続の現実がある。

蔵重先生:
はい。
もちろん、従業員の健康を軽視してよいわけではありません。

ただ、企業の実情を理解したうえで、どのような対応が現実的なのかを考える必要があります。
医学的な安全性と、企業の対応可能性。その両方を踏まえて意見を述べることが、産業医に求められる役割だと思っています。

―― 病院の医師とは違って、産業医は「職場でどう働くか」まで見なければならない。

蔵重先生:
そうですね。
そこが産業医の専門性だと思います。

面談は「実施して終わり」ではない

―― 蔵重先生は、面談後の記録や対応の整理も重視されていますよね。

蔵重先生:
はい。
面談を実施すること自体も大切ですが、それで終わりではありません。

何を確認したのか。
どのような医学的判断をしたのか。
会社として何を検討したのか。
次に何を確認する必要があるのか。

そういったことを適切に整理しておくことが重要です。

―― 特にメンタルヘルスや休職・復職対応では、経過が長くなることも多いですよね。担当者が変わったり、本人の状態が変わったりすることもある。

蔵重先生:
そうです。
過去の対応経過が曖昧だと、会社として一貫した対応が難しくなります。

記録を残すことだけが目的ではありませんが、対応の過程を適切に残しておくことは、結果的に企業のリスク管理にもつながります。

―― 記録は単なる事務作業ではなく、本人を継続的に支えるための土台であり、会社が適切に対応してきたことを説明する材料にもなる。

蔵重先生:
はい。
面談後にどう整理し、どう共有し、次の対応につなげるか。そこまで含めて、産業医として支援することが大切だと思っています。

法律業務ではなく、産業保健実務の流れを整える

―― 弁護士資格をお持ちというと、企業側からは「法的な判断をしてくれる産業医」という印象を持たれることもあるかもしれません。実際には、どのように活かされているのでしょうか。

蔵重先生:
産業医業務の中で、法律業務そのものを前面に出しているわけではありません。

ただ、産業保健の実務では、後々問題になりやすい流れがあります。

―― たとえば、受診勧奨をしたのか、就業上の配慮を検討したのか、本人にどう説明したのか、職場にどこまで共有したのか、復職後にどうフォローしたのか。そういった一つひとつですね。

蔵重先生:
はい。
一つひとつは日常的な産業保健業務です。

ただ、対応が曖昧なまま進むと、後から会社として説明しにくくなることがあります。
そのため、従業員を守ること、企業が説明できる対応を残すこと、そして現場が実行できる形に整えること。この三つを同時に考えることが重要だと思っています。

―― 法律で戦う場面ではなく、その前段階で実務の流れを整える。そこに蔵重先生の強みがあるわけですね。

蔵重先生:
そう思っています。
問題が大きくなる前の初期対応こそ、産業医が価値を出せる場面だと思います。

迷った段階で相談できる産業医でありたい

―― 最後に、企業の人事担当者や経営者の方へメッセージをお願いします。

蔵重先生:
メンタルヘルス対応や休職・復職対応では、正解が一つに決まらない場面が多いと思います。

だからこそ、問題が大きくなってからではなく、迷った段階で相談していただくことが大切です。

―― 「主治医の診断書をどう受け止めればよいか」「本人の希望をどこまで尊重すべきか」「職場に何を共有すべきか」「復職後の配慮をどう設計するか」など、現場では迷うことが多いですよね。

蔵重先生:
はい。
医学的な判断だけでなく、職場の実情や企業の対応可能性も踏まえながら、実務上判断しやすい形に整理していきたいと思っています。

―― 従業員を守る。企業の現場も支える。そして、将来のリスクまで見据えて、対応の流れを整える。

蔵重先生の産業医としての姿勢は、メンタルヘルス体制に悩む企業にとって、大きな安心材料になるはずです。

法律に強い産業医として、初期対応から企業を支える

―― ここまで伺っていると、蔵重先生の強みは「医学的判断」と「法的リスクへの見通し」を両方持っている点にあると感じます。ご自身では、どのような点がPRポイントになると考えていますか。

蔵重先生:
メンタルヘルス対応は、初期の段階では大きな問題に見えないことも多いと思います。

ただ、対応や記録が不十分なまま進むと、後から労災や民事上の問題につながることがあります。
そのような局面に、初期段階から関与できる医師であることは、私の強みだと思っています。

―― 問題が大きくなってから弁護士が関与することはあっても、最初の面談や社内対応の段階では、産業医が関わっていることが多いですよね。

蔵重先生:
はい。
通常、弁護士が最初から面談の場にいるわけではありません。

一方で、産業医は本人の状態を確認し、会社の担当者とも話し、就業上の判断に関わります。
その時点で、将来的なリスクを見据えながら適切に対応できることには、大きな意味があると思っています。

―― 医学だけでなく、将来の紛争リスクや企業側の説明可能性まで見据えられる。

蔵重先生:
そうですね。
もちろん、産業医として最も大切なのは従業員を守ることです。

ただ同時に、企業が適切に対応してきたことを説明できるようにすることも重要です。
従業員を守ることと、企業を守ることは対立するものではありません。

蔵重先生:
法律に強い産業医として、メンタルヘルス対応の初期段階から関与し、従業員にも企業にも納得感のある対応を支えられること。
そこが、私のPRポイントになるのではないかと思っています。

蔵重先生へのご相談・お問い合わせ

項目内容
会社名Advancing Healths株式会社
代表者代表取締役/代表医師 藏重 大樹
所在地〒540-0032
大阪市中央区天満橋京町1-27 ファラン天満橋82号室
事業内容嘱託産業医業務、産業保健体制の整備、健診後対応、長時間労働者面接、メンタルヘルス・休職・復職対応、衛生委員会・職場巡視、健康経営に関する現状整理
代表資格医師/産業医/弁護士/健康経営エキスパートアドバイザー
Webhttps://advh.co.jp
メールinfo@advh.co.jp
電話06-4400-0456
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産業保健メディア「さんぽちゃーと」の編集部員・ライターです。産業医事務所で担当事業所50社以上の支援に携わってきました。産業医や産業保健師等の産業保健に関わる情報を発信していきます。

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