「産業医から2枚運用と言われたけど、正直よくわかりません」——産業医と初めて連携する人事担当者から、こういった声が届きます。
難しい言葉で説明する前に、一言でまとめます。「産業医が持っている情報を、加工しないまま全員に共有するな」——これが2枚運用の本質です。
この記事では、産業医との連携を初めて始める人事担当者に向けて、2枚運用の考え方をわかりやすく解説します。産業医自身が経験した「失敗しそうになったエピソード」も合わせて紹介します。
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一言で言えば「情報を丸ごと全員に共有するな」

産業医は面談を通じて、従業員の病名・治療状況・プライベートな悩み・職場の人間関係など、多くのセンシティブな情報にアクセスします。
この情報をすべてそのまま人事に渡し、さらに職場の上司にも同じ内容を展開する——これが「情報を丸ごと全員に共有する」状態です。これは法律上も倫理上も許されない行為であり、従業員本人に深刻な不利益をもたらします。
健康情報は要配慮個人情報(個人情報保護法)です。本人の同意なしに第三者へ提供することは原則禁止されています。「産業医→人事→職場」と情報が流れる中で、各段階で適切に加工・絞り込まなければなりません。
3つのレイヤーで情報を分ける

2枚運用(3段階管理)では、情報を届ける相手によって中身を変えます。
産業医が持つ情報——生データ(最も詳細)
面談で話されたすべての内容。病名・治療状況・本人の悩み・プライベートな事情・職場の人間関係まで含む「生データ」です。この情報は産業医が保管し、そのままの形では誰にも渡しません。
人事が受け取る情報——加工済み(必要な根拠と制限内容)
人事が受け取るのは「なぜ就業制限が必要か」という根拠と「どのような制限が必要か」という内容に絞られた情報です。意見書がこれにあたります。場合によっては病名の記載を含みますが、不要なプライベート情報は含みません。
職場に届く情報——最も絞り込まれた配慮事項のみ
上司・現場に伝えるのは「この人にはこの配慮が必要」という事実だけです。病名は原則として伝えません。「月の残業は20時間以内」「夜勤は禁止」——この制限の内容だけが職場に必要な情報です。
産業医が経験した「あぶなかった」エピソード

正直に話します。私自身、産業医として経験が浅かった頃に、加工していない生記録を職場に送りそうになったことがあります。
面談が終わった後、急いで記録を整理していた中で「職場へ提出する書類」と「産業医が保管する面談記録」の区別が曖昧になりかけた瞬間がありました。送る前に気づいて止めましたが、もし送っていたら——本人が面談で話した、絶対に職場に知られたくないプライベートな悩みが、上司に届いていたかもしれません。
面談記録には、プライベートな内容・特定の同僚への不満・家庭環境など、職場の就業配慮には一切関係のない情報が含まれています。これが間違って流れると、従業員との信頼関係が壊れるだけでなく、その職場全体で「産業医・人事に相談できない」という空気が生まれます。
人事担当者が意識すべきこと

人事担当者の立場では、産業医から受け取った意見書・報告書を、そのまま職場に展開しないことが重要です。
- 産業医から受け取る文書=人事用の加工済み情報(病名・就業制限理由を含む)
- 職場に伝えるときは、さらに制限内容のみに絞り込む
- 「なぜ制限が必要か」という理由は、原則として職場には伝えない
小規模な事業所など、人事担当者が1人で対応しなければならないケースでは、産業医と一緒に「職場向けの配慮事項の書き方」を決めておくことが有効です。
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産業医カルテ(さんぎょういカルテ)では、面談記録を入力する段階から、意見書・報告書の出力レイヤーが分かれています。産業医が記録を作成すると、人事向けアウトプットと職場向けアウトプットが自動で生成される仕組みになっています。
これにより、産業医が意識して3種類の書類を別々に作成する手間が省け、情報の誤送信リスクも大幅に下がります。「正しいことはわかっているが工数がかかって続けられない」という問題を、仕組みの力で解決するアプローチです。
まとめ
- 2枚運用の本質は「情報を丸ごと加工せず全員に共有するな」
- 産業医→人事→職場の3段階で、情報量を絞りながら届ける
- 生記録が職場に流れると、信頼が壊れて職場全体の相談機能が失われる
- 人事担当者は、産業医から受け取った意見書をさらに絞り込んで職場に伝える
- さんぎょういカルテを使えば、情報レイヤーの分離を自動化できる
2枚運用は難しい概念ではありません。「誰に、何を、どこまで伝えるか」を最初に決めておくことで、従業員のプライバシーを守りながら職場の健康管理が機能する仕組みが整います。
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