「産業医を新しく選任したいんですけど、内科の先生と精神科の先生、どちらがいいですか?」
人事担当者の方からよくいただくご質問です。質問の意図はよく分かります。健康診断の結果説明や生活習慣病対応なら内科、メンタル不調対応なら精神科、というイメージで考えるのが自然だからです。
しかし、産業医として10年以上現場に立ってきた経験から断言できるのは、「専門科」で産業医を選ぶのは、選び方として半分しか合っていないということです。本当に企業の課題解決に貢献できる産業医を選ぶには、専門科よりはるかに重要な軸があります。
専門科だけでなく「コミット力」「実地経験」「記録運用」まで含めた最適な産業医選定を、サンポチャートが支援します。
「産業医は何科の先生?」と聞かれる落とし穴

新規に産業医選任を進めようとする人事担当者の方が、紹介会社の電話で真っ先に聞かれるのが「ご希望の専門科はありますか?」です。これは紹介会社側のオペレーション上、専門科で先生を絞り込むのが効率的だからです。
しかしこの質問の構造そのものが、「専門科で先生の質が決まる」という誤解を生んでいます。実際には、専門科の知識は産業医業務の中で「あれば良い」程度の要素にすぎません。
「メンタル不調の社員が増えてきたので、精神科の先生でお願いします」
これも本当によくあるリクエストですが、実はこの選び方は「精神科だけど職場対応が苦手な先生」を引き当てるリスクと表裏一体です。精神科医として臨床経験が長くても、職場の業務内容や上司との連携、人事制度との接続が苦手な先生は珍しくありません。
専門科は「選別の出発点」にはなるが「ゴール」にはならない
専門科を全く考えなくていいわけではありません。あくまで「選別の出発点」としては有効です。化学物質を多く扱う製造業なら、産業中毒を学んだ先生のほうが立ち上がりが早い、というのは事実です。
しかし、出発点で絞り込んだあと、最終的な選定はもっと重要な軸で決めるべきです。それが次に説明する「職場コミット力」です。
なぜ多くの会社が「内科・精神科」を優先しがちなのか

そもそも、なぜ多くの会社が専門科で先生を選んでしまうのか。背景には3つの心理があります。
心理1:メンタル不調対応 = 精神科という直感
メンタル不調者の対応に困っている会社は、当然ながら「精神科の先生がいれば解決するはず」と考えます。気持ちは非常によく分かります。
しかし、企業内のメンタル対応で本当に必要なのは「職場と本人と主治医の三者の間に立ち、復職判定や業務調整を仕組み化する力」です。これは精神科医の臨床スキルとは別軸の能力で、必ずしも精神科医に備わっているとは限りません。
心理2:健診の数値が読めるから内科という直感
健康診断の事後措置をしっかりやってほしいから、数値が読める内科医を、というのも自然な発想です。
ただし、健診事後措置で本当に大事なのは「職場の業務負荷と健診結果を結びつけて、適切な就業制限や受診勧奨を判定する力」です。数値が読めるのは前提条件であって、それだけでは産業医として十分ではありません。
心理3:「お医者さん」全般の印象で決めてしまう
もっとも多いのが、「医師なんだから、まあ大丈夫だろう」という漠然とした信頼です。専門科に関わらず、医師免許という共通項があれば一定の質が担保されているという思い込み。
残念ながら、これが一番危ない選び方です。医師免許は「医療行為を行う資格」であって、「企業の健康管理を担う資格」とは別もの。後者を判定する基準を、別に持つ必要があります。
産業医として本当に大事なのは「職場コミット力」

では何が大事なのか。私が10年以上現場で見てきた結論は「職場コミット力」です。聞き慣れない言葉かもしれないので、定義から説明します。
職場コミット力 = 自社の業務内容・組織・課題に深く関わり、現場で動き、記録を残し、会社の打ち手まで提案する力
具体的には、以下のような行動が取れる先生です。
- 月1の訪問で必ず職場巡視を行い、現場の作業内容を理解しようとする
- 面談記録を産業医側で書面化し、人事と共有する仕組みを持っている
- 衛生委員会で形だけの講話ではなく、自社の課題に即したテーマを提案してくれる
- 緊急の労務トラブル時、24時間以内に相談できる連絡経路を約束してくれる
- 「先生、これはどうしますか?」に対して、医療判断だけでなく職場運用の提案までしてくれる
これらは、専門科とは独立した能力です。内科でも精神科でも、コミット力が高い先生はいるし、低い先生もいる。順序としては、まず「コミット力」で絞り込み、その中から専門科でファインチューニングするのが正解です。
専門科 × コミット力のマトリクスで考える
専門科とコミット力を 2軸で並べると、4つのタイプが見えてきます。
- 専門性◎ × コミット力◎(理想形):自社の業界・業務にマッチした専門知識を持ち、かつ現場に深く関わってくれる先生。希少だが、紹介会社が「言語化された課題」を渡せば見つかる
- 専門性◎ × コミット力△(肩書きだけ):有名病院出身、論文多数、でも職場には来ない/動かない先生。ブランド名で選ぶと当たりがち。現場が動かないので評価は低い
- 専門性○ × コミット力◎(現場で力を出す):専門は普通でも、自社の業務をしっかり理解し、面談・巡視・記録を継続してくれる先生。多くの企業ではこれで十分回る
- 専門性△ × コミット力△(最悪パターン):選任しただけ、たまに来るだけ、というケース。実害が出るまでに時間がかかるが、5年・10年で取り返しのつかない負債を残す
自社に必要な「コミット力」を見極める3つの質問
では実際に、面接(初回打ち合わせ)で先生のコミット力をどう見極めるか。私が必ず人事担当者の方にお勧めしている、シンプルな3つの質問があります。
質問1:「うちの工場/オフィスを実地で見に来てくれますか? 月何回?」
面談だけ会議室でやって、現場には行かない先生がいます。これは産業医として論外です。「月1回必ず職場巡視します」と即答できる先生を選ぶべきです。
「忙しいので3ヶ月に1回でも…」と回答する先生は、コミット力が不足しています。法令上は最低限を満たしていても、実質的な貢献は期待できません。
質問2:「面談記録は産業医側で書面化して残してもらえますか?」
面談はするけれど記録を残さない先生も意外と多いです。記録がないと、過去の判断が再現できない・産業医交代時に引き継げない・労務トラブル時に説明できないという三重の問題が起きます。
「面談記録のフォーマットを共有していただけますか?」と聞いて、すぐにサンプルを出してくれる先生は安心です。出てこなければ、運用は危ういです。
質問3:「緊急の労務トラブル時、24時間以内に相談できる連絡経路はありますか?」
突発的なメンタル不調・労災・ハラスメント案件などは、産業医に即座に相談したい場面が必ず来ます。月1の訪問日まで待てません。
「メールで連絡いただければ、24時間以内に方針を返します」と即答できる先生を選んでください。この一言があるかないかで、緊急時の安心感が全く違います。
この3つの質問は、専門科に関わらず投げてください。3つすべて即答で「YES」が返ってくる先生は、専門科が何であれ、ほぼ確実に良い産業医になります。
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「産業医は何科の先生?」と聞きたくなる気持ちは分かります。しかし、本当に大事なのは専門科ではなく、その先生が「現場に来るか」「記録を残すか」「緊急時に動くか」という3つの行動です。
- 専門科は「選別の出発点」止まり、最終決定の軸ではない
- 本当に大事なのは「職場コミット力」(現場・記録・緊急対応)
- 面接で必ず3つの質問を投げて、即答できるかを確認する
- 専門性 × コミット力の両軸で4分類して、選定の精度を上げる
専門科のラベルに引きずられて、コミット力の低い先生を選んでしまうと、5年後・10年後に企業に大きな負債を残します。最初の選び方が、長期的なリターンを決めます。
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