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ストレスチェック高ストレス者面談の方法|準備から注意点まで

2026 5/17
産業保健全般
2026年2月23日2026年5月17日
ストレスチェック高ストレス者面談・面接指導の方法は?準備・注意点・コツを徹底解説

ストレスチェックを実施した後、メンタル不調の未然防止(一次予防)の要となるのが「医師による高ストレス者面接指導」です。 ただ現場の人事・労務担当者からは、こんな声が多く聞かれます。

  • 誰が高ストレス者なのか会社が把握できず、面談につながらない
  • 本人からの申出がなく、せっかくの制度が形骸化している
  • 面接指導が単なる“お悩み相談”になってしまい、就業上の判断につながらない
  • 職場への情報共有の範囲を間違えて、プライバシー侵害のトラブルが怖い
  • 実施しても、結局 事後措置が動かない

この記事では、労働安全衛生法に基づく適法なルールを守りつつ、準備→面談→記録→報告→事後措置→フォローまでを、実務で安心して運用できるノウハウを徹底解説します。

目次

高ストレス者の面接指導とは

高ストレス者の面接指導は、ストレスチェックの結果「高ストレスであり、面接指導が必要」と判定された労働者のうち、本人から申出があった者に対して医師が行う面談です。 面談で心身の状況や仕事の負担を確認し、必要に応じて就業上の措置(残業制限、業務軽減、配置転換など)につなげる仕組みであり、労働安全衛生法(第66条の10)で義務付けられた非常に重要なプロセスです。

治療を行う医療行為ではなく、あくまで「就業継続のための環境調整(安全配慮義務の履行)」が目的であることを押さえておきましょう。

ストレス者に対する医師による面接指導は、事業者の義務となっており、従業員が希望した際は必ず実施しなければなりません。ストレスチェックをやっただけで終わりにしないようにしっかりと対策を行いましょう

まず押さえる「対象者の考え方と申出の壁」

基本:会社は“本人の同意なく結果を知ることはできない”

高ストレス者面談を実施する際のポイントはプライバシー保持の範囲を明確に認識することが大切です。長時間労働面談との最大の違いはここにあります。労働安全衛生法上、ストレスチェックの結果は実施者(医師や保健師等)から本人に直接通知され、本人の同意がない限り会社(人事や上司)に提供してはならないと厳格に定められています。

産業医面談の基準と「申出の壁」

面談の対象となるのは以下の条件を満たした従業員です。

  1. ストレスチェックで高ストレス者と選定された
  2. 医師が必要と認めたもの
  3. 本人が医師による面接指導を希望し、会社に「申出」をした

現場のコツ: 会社は「誰が高ストレスか」を知らないため、待っているだけでは面談は発生しません。実施者(医師・保健師等)から高ストレス者に対して、「結果通知と同時に面談を勧奨する(背中を押す)」仕組みを作っておくことが、運用を安定させる最大のポイントです。

面接指導の「全体フロー」

高ストレス者面談は、プライバシー保護の観点から手続きが法律で細かく決まっています。以下の流れを固定化しましょう。

  1. 結果通知・面談勧奨(実施者→本人)
  2. 面談の申出(本人→会社:結果通知から1ヶ月以内)
  3. 面談のセッティング(会社:プライバシーに配慮した調整)
  4. 面接実施(医師:申出から1ヶ月以内)
  5. 医師からの意見聴取(会社:面談実施後、遅滞なく/おおむね1ヶ月以内)
  6. 事後措置の決定・実行(会社)
  7. 記録の保存(会社:5年間保存)

【準備】人事・総務がやるべきこと

準備① 申出窓口の明確化とプライバシー保護

「誰に申し出ればいいのか」が不明確だと、従業員は不安で申し出ができません。人事部の特定の担当者や、外部のEAP窓口などを指定し、「申し出た事実が上司や同僚に漏れない」ことを徹底してください。

準備② 「不利益取扱いの禁止」を社内ルール化・周知する

安衛法において、「ストレスチェックを受検しないこと」「面接指導を申し出たこと」を理由とした不利益な取扱い(解雇、減給、降格など)は絶対禁止とされています。これを全社にアナウンスし、面談の心理的ハードルを下げることが必須です。

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準備③ 本人への案内文を作成する:面談のハードルを下げる工夫

実施者からの「面談勧奨の案内文」には、以下の項目を必ず盛り込みます。

  • 面接の目的: 評価を下げるためではなく、健康確保と就業環境の改善が目的であること。
  • 守秘義務の徹底: 面談内容や結果が、本人の同意なく職場に詳細に共有されることはないこと。

準備④ 面談枠の取り方:申出から1ヶ月以内のスケジューリング

法律上、会社は「申出があってから1ヶ月以内」に面談を実施する義務があります。申出があってから慌てて産業医の日程を押さえるのではなく、あらかじめストレスチェック実施後の月には「予備の面談枠」をいくつか確保しておくのがスマートです。

準備⑤ 事前の情報共有(※本人の同意必須)

医師が質の高い面談を行うためには、本人のストレスチェック結果や労働時間のデータが必要です。面談の申出があった段階で、本人から「結果を会社(産業医)に提供することへの同意」を取得し、事前に医師へ情報を提供しておきましょう。


【実施】医師面接の進め方

医師による面接指導は、単なる治療目的やヒアリング目的のカウンセリングではありません。以下のステップで進めると、就業上の判断に直結する質の高い面談になります。

  • Step1:冒頭(目的・安心・守秘) 最初の30秒で警戒心を解きます。「今日は健康確保のための面談です。配慮に必要な最小限のことしか職場には伝えないので、安心してお話しください」と伝えます。
  • Step2:ストレス要因の事実確認(“実態”を見る) 仕事の量・質、人間関係、裁量権の有無など、ストレスチェックの回答結果をもとに、何が一番の負担になっているかをヒアリングします。
  • Step3:心身の状況・睡眠・生活(リスクの核) 「睡眠がとれているか(中途覚醒や早朝覚醒がないか)」「食欲はあるか」を深掘りします。睡眠障害はメンタル不調の最も重要なサインです。
  • Step4:長時間労働の有無の確認 高ストレスの裏には、往々にして長時間労働が隠れています。勤怠データと実態に乖離がないか確認します。
  • Step5:就業上の措置(“具体化”が勝ち) 面接のゴールは、会社が実行できる具体的なアクションを決めることです。
    • 悪い例:「上司と相談し、業務量を調整することが望ましい」
    • 良い例:「当面1か月間、時間外労働は禁止。深夜勤務は除外。〇〇の業務担当から一時的に外す。1ヶ月後に再評価する」

【記録】報告書・意見書の書き方

面接指導の記録は、安衛法により5年間の保存義務があります。厚労省がHPで公開している様式例をベースに、型を作っておきましょう。

面接指導の記録を行う際の情報もしっかりとプライバシーを守ったうえで社内運用を行うことが必須です。

医師の記録、職場への報告書、就業への意見書に記載する情報をきちんと区別したうえで運用しなければ、要配慮個人情報が職場に流出するリスクがあります。

医師記録➡報告書➡就業上の措置の意見書と現場に落とし込むにつれて情報が限られる様な運用が必要です。

厚生労働省の作成する帳票をそのまま、職場に展開すると勤務や悩みの状況・ストレスチェックの点数が共有されてしまうこともあるため、必要に応じて加工を行うなど注意をしましょう。

【報告書(面接指導の結果)】

  • ストレスチェックの結果(本人の同意がある場合)
  • ストレスチェックの点数
  • 業務の負担状況、心身の状況(※就業判断に必要な範囲にとどめ、詳細なプライベート情報は書かない)

【意見書(就業上の措置)】

  • 就業区分(通常勤務/就業制限/要休業)
  • 具体的配慮(数値・期間を明記)
  • 見直し日(フォローアップのタイミング)

産業医意見書を運用する際には社内での考え方や運用ルールをあらかじめ定めておくことが必須です。下記の記事に詳しくまとめておりますのでぜひ確認してください。

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【2026年最新版】産業医意見書作成・運用完全ガイド【医師解説・テンプレあり】 産業医意見書(就業上の措置に係る意見書)は、「医師が医学的な内容を書いた紙」ではなく、会社が安全に働かせるための“運用の指示書”です。 ところが現場では、こんな…

事後措置

面接を実施して意見書をもらっても、現場の働き方が変わらなければ意味がありません。

  • 医師意見の受領ルートを固定: 人事責任者など、権限を持った人が受け取り、措置を決定します。
  • 情報共有は「最小化」: 現場のマネージャーに伝えるのは「本人の詳細な悩みや病状」ではなく、「必要な配慮(残業上限や業務の変更など)」のみです。ここを間違えるとプライバシー侵害になります。
  • 見直し日のスケジュール確保: 意見書に書かれた再評価スケジュールをカレンダーに押さえ、やりっぱなしを防ぎます。

実務で注意すべき落とし穴10選

高ストレス者面談において、法令違反やトラブルになりやすい10の落とし穴です。

  1. 同意なき結果把握: 人事が勝手に実施者から結果を聞き出してしまう(完全な法律違反です)。
  2. 申出への不利益取扱い: 面談を申し出たことを理由に、本人の意に反する不当な配置転換や評価の引き下げを行う。
  3. 実施者からの勧奨漏れ: 高ストレス者への面談勧奨が行われず、誰も申し出ないまま放置される。
  4. 申出窓口の心理的ハードル: 窓口が直属の上司になっており、誰も怖くて申し出られない。
  5. カウンセリングとの混同: 医師がただ話を聞くだけで終わり、「就業上の措置」の意見が出てこない。
  6. 職場への過度な情報共有: 面談で聞いた家庭の事情などを、そのまま上司に伝えてしまう。
  7. 具体性のない意見書: 医師の意見が抽象的すぎて、現場がどう配慮していいか分からない。
  8. 措置の丸投げ: 人事が現場のマネージャーに「適当に配慮しておいて」と丸投げし、実行されない。
  9. 記録の不備・保存違反: 面談記録を取っていない、または5年保存のルールが守られていない。
  10. フォローアップの欠如: 期限が設定されておらず、配慮状態がダラダラと続く、あるいは放置される。

まとめ

高ストレス者の面接指導は、労働安全衛生法で定められた事業者の義務であると同時に、大切な従業員の休職や離職を防ぐための重要なセーフティネットです。

長時間労働面談とは異なり、「本人の同意」と「不利益取扱いの禁止」という厳格なルールが存在します。 成功の鍵は、実施者からの適切な「面談勧奨」と、従業員が安心して申し出ができる「プライバシーの保護された環境づくり」にあります。

面談後は、医師からの具体的な意見をもとに、期限を区切って事後措置を実行し、必ずフォローアップを行いましょう。ルールと仕組みを整えれば、メンタルヘルス不調の予防に絶大な効果を発揮します。ぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

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産業保健解説メディア「さんぽちゃーと」編集長。株式会社サンポチャート代表取締役。株式会社豊田自動織機専属産業医の後、東海地方を中心に50事業所以上の職場健康管理に関わっている。資格:日本医師会認定産業医/博士(医学)/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/健康経営エキスパートアドバイザー。著書に40代から始めるあなたの予防医学(自由国民社)、図解入門ビジネス職場メンタルヘルスの基本と対応がよくわかる本(秀和システム新社)がある。

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