国民の8割が一生のうちに一度は経験する腰痛。
特に現代は、会社での業務やリモートワークで長時間パソコンの前に座り、腰が痛くなったと感じる方もいるのではないでしょうか?
本記事では、デスクワーカーがなぜ腰痛になりやすいのか、原因や改善方法を詳しく解説していきます。
また、デスクでできる簡単なストレッチもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
腰痛の原因とは?デスクワーカーに多い問題
デスクワーカーが腰痛になりやすい原因は主に5つあります。
長時間の座位姿勢がつづくことで身体への負担が増すことや姿勢が悪くなること、急激な動作による筋肉の柔軟性低下、作業環境の問題、ストレスなどの心理的問題などが挙げられます。
では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
1.長時間の座位姿勢による身体への負担
デスクワークでは長時間同じ姿勢で座りつづけることで、腰や背中の筋肉の緊張したままになります。
すると背中や腰の筋肉は血行不良を起こし、疲労が蓄積して腰痛へと発展する可能性があるのです。
また、座っている姿勢は立っている姿勢よりも背骨の椎間板(ついかんばん:背骨と背骨の間にあり、衝撃吸収などクッションのような役割をしている)にかかる負担が増すという研究報告がされています。
長時間の座位姿勢により椎間板への負担が増してしまうと、椎間板の変形や損傷が起きて腰痛の原因となってしまうので注意が必要です。
2. 姿勢が悪くなっている
長時間パソコンの画面に向かっていると、画面に顔を近づけすぎて猫背気味になったり、作業中に無意識に足を組んで座ったりしている方もいると思います。
猫背や足を組んだ姿勢を長時間続けることで、腰椎(ようつい:背骨の腰の部分にある骨のことで、5つ存在する)への負担や骨盤の歪みにつながり、腰痛が生じてしまうおそれがあります。
3.急激な動作によるもの
パソコン作業などで長時間の座位姿勢から急に立ち上がったり、重い荷物を持ち上げたりすると、腰が痛くなってしまうことがあります。
脳や身体が予期しない急激な動作により、腰の筋肉に負担がかかって腰痛を引き起こしてしまうのです。
4.作業環境の問題
机やイスの高さが合わなかったり、室温が寒すぎたりするなどの作業環境の問題が腰痛の原因となります。
机やイスの高さが合わないと、正しい作業姿勢が保てなくなります。また、室温が寒すぎると身体の血流が悪くなって腰痛の原因や悪化のおそれが高まるので注意が必要です。
5.ストレスなどの心理的な問題
デスクワーカーの腰痛の一因として、心理的要因が関係しています。
仕事への不満や職場での人間関係で感じるストレスを感じると、交感神経(こうかんしんけい:自律神経のひとつで活動的な場面で優位にき、筋肉を緊張させたりする)が働き身体の筋肉が緊張します。
その結果、身体の血流悪化を招き、腰痛を引き起こす原因となるのです。
上記の5つの原因が複合的に絡み合い、デスクワーカーが腰痛になりやすいとされています。
日常生活でできる腰痛の改善策
ここまで、デスクワーカーが腰痛になりやすい主な原因について紹介してきました。
ここからは、腰痛の改善策について詳しく解説していきます。
日頃から腰痛に悩まされている方はぜひ参考にしてみてください。
休憩をこまめにとって長時間の座位姿勢を避ける
デスクワーカーの腰痛で一番問題となるのが、長時間同じ姿勢で座ったままの状態でいることです。
腰や背中の筋肉がこり固まり、血行不良から腰痛になるおそれがあるため、作業の合間に休憩をこまめにとるように心がけましょう。
良い姿勢を維持する
パソコン作業をするときなど、猫背にならないように良い姿勢を維持することも腰痛予防には欠かせません。
以下に、デスクワークにおける良い姿勢のチェックポイントを記載しましたので、参考にしてみてください。
⚫︎パソコン作業をするときの正しい姿勢のチェックポイント
参考:独立行政法人労働安全衛生総合研究所 パソコン利用のアクション・チェックポイント
- モニターの高さは水平線より下、ディスプレイは眼から40cm以上離しているか
- 背もたれのついた椅子を使用しているか
- 肘(肘掛)と手(机上)を支える肘関節の角度は90度となるように調整しているか
- イスやデスクは高さ調整ができるものを使用しているか
- 足元の空間を確保しているか
ストレスを溜め込まず、自分に合った方法で解消する
職場で抱えたストレスを解消することで、身体の筋肉の緊張がほぐれて腰痛が改善する可能性があります。
例えば、好きな音楽を聴いたり、散歩をしたり、体を動かしたりなどご自身に合った方法でストレスを解消していきましょう。
睡眠時間の確保や十分に休息をとることでも、心がリラックスしストレス軽減につながるのでおすすめです。
ストレッチや運動をして筋肉を柔軟にする
長時間同じ姿勢でいたり、座位姿勢が長くつづいたりすると身体の筋肉がこり固まり、血行不良を起こします。
そのため、休憩の合間にストレッチや軽い運動を行い、筋肉の柔軟性を高めて血行の改善をしていきましょう。
具体的なストレッチの方法については次の見出しでご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
デスクワーカーにおすすめのストレッチを3つ紹介
ここからは、休憩時間や仕事の合間にできる簡単なストレッチを3つご紹介していきます。
ストレッチをしてこり固まった筋肉をほぐし、腰痛予防をするように心がけましょう。
肩と背中のストレッチ
- イスに姿勢をよくして座りましょう。
- 背中の後ろで両手を組みます。
- 胸を張り、肘はまっすぐ伸ばします。
- 息を吐きながら、伸ばした腕を天井方向に持ち上げていきましょう。
- ゆっくり10秒数え、息を吸いながら腕の位置を戻していきます。
腕を持ち上げた時に、身体が前屈みにならないように注意しておこうことがポイントです。
上半身のストレッチ
- 立ったまま、机やコピー機などに両手をつきます。
- 上の画像のように、背中が床と水平になる位置まで足を後ろに下げましょう。
- 腕をしっかりと伸ばし、背中や胸の前の筋肉を気持ちよくストレッチしましょう。
- 呼吸は止めないようにゆっくりと20秒数え、1〜3セットを目安に繰り返します。
ふくらはぎのストレッチ
- 立ったまま、机やコピー機などに両手をつきます。
- 右足を後ろに下げます。
- もう左足に体重を乗せて、右足のふくらはぎを気持ちよくストレッチしましょう。
- 呼吸を止めないように気をつけ、20秒ほど数えます。
- 1〜3セット行ったら反対の足も実施しましょう。
少しでも身体をストレッチや身体を動かすことで、身体の凝りや血流改善のみならず気分のリフレッシュにもなります。
ぜひ、休憩時間や仕事の合間に行ってみてください。
ひどい腰痛の場合は産業医や専門家へ相談しましょう
ひどい腰痛にお困りの方はぜひ、専門家に相談して判断を仰ぎましょう。
「たかが腰痛だから……」と過信せず、企業の産業医や産業保健師、産業理学療法士などに相談することが大切です。
また、慢性腰痛を抱えている方や症状が軽い方でも、症状の悪化や病気が隠れている場合がありますので、どんな些細なことでも構いませんので専門家に相談してみてください。
まとめ:長時間の座位姿勢を避けて、腰痛予防をしましょう
デスクワーカーが腰痛になりやすい原因や対処法について解説していきました。
腰痛の予防には長時間の座位姿勢を避けて、休憩とりながら作業を行うことが大切です。
腰痛に悩まされたままでいると身体的な面だけでなく精神的にも辛くなり、作業効率の低下が懸念されます。
作業の合間や休憩の際に、今回ご紹介した腰痛予防のストレッチを気分転換も兼ねて、ぜひ取り入れてみてください。