産業医を選任したら、様式第3号「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」を、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に提出します(労働安全衛生規則第13条第2項)。2025年1月からは電子申請が原則で、医師免許証の写しと、産業医の資格を証する書面の写しを添付します。
この記事では、様式第3号の書き方(産業医の欄で迷う所)、資格ごとの添付書類、交代・辞任のときの報告を順に説明します。後半は、さんぽちゃーと編集部が厚生労働省の入力支援サービスで実際に入力・申請してみた記録です。
なお、そもそも何人から・いつまでに産業医を選任するのか(50人の数え方と14日の期限)は産業医の選任|50人の数え方・14日の期限・最初の3か月で解説しています。この記事は、選任が決まったあとの届出の手順です。
めったに無い申請だからこそ「さんぽちゃーと」では実践して情報共有をしたいと考えます。
選任報告とは——いつ・どこへ・どの様式で出す?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 様式 | 様式第3号「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」 |
| いつまでに | 産業医の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内。選任したら遅滞なく報告 |
| どこへ | 事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長 |
| 出し方 | 電子申請(e-Gov)が原則。パソコンが無いなど電子申請が難しい場合は、当分の間、書面でも出せる |
| 根拠 | 労働安全衛生法第13条、労働安全衛生規則第13条 |
電子申請が原則になったのは2025年(令和7年)1月1日からです。定期健康診断結果報告やストレスチェックの結果報告と同じ扱いになりました(東京労働局の案内)。期限と提出先は、厚生労働省のQ&Aでも確認できます。
様式第3号の書き方——産業医の欄で迷う6か所
様式第3号は、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者と共通の様式です。産業医を報告するときに迷いやすいのは、次の6か所です(様式の裏面の注意書きにもとづく)。
- 事業の種類: 産業医の場合は、日本標準産業分類の中分類で書きます(例: 食料品製造業、道路貨物運送業)。
- 労働者数: 事業場の労働者数に加えて、「産業医の場合は、労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する労働者数」の欄があります。深夜業や有害な業務など、同号に挙げられた業務に就く人の数です。該当する人がいなければ空欄のままにします。
- 選任種別と専属の別: 種別は「5 産業医」。その事業場の専属なら「1 専属」、嘱託なら「2 非専属」を選びます。
- 医籍番号等: 産業医の医籍番号と、資格の種類を表す種別コード(1〜7)を書きます。コードは下の「添付書類」の表で確認できます。
- 日付: 選任年月日と生年月日は、元号をコードで書きます(令和=9、平成=7、昭和=5)。
- 参考事項: 初めて産業医を選任したときは「新規選任」と書き、あわせて産業医の専門科名と、開業している場合はその旨を書きます。
同じ様式第3号の記載例(衛生管理者を選任した場合)と、提出前に確かめることは、無料PDF『衛生管理者の交代・解任の手続きと、選任報告(様式第3号)の記載例』にまとめています。
添付書類——医師免許証の写しと、資格を証する書面の写し
産業医選任報告には、医師免許証の写しと、その医師が産業医の要件のどれに当たるかを証する書面の写しを添付します。資格の種類ごとの書面は次のとおりです。
| 資格の種類(種別コード) | 添付する書面 |
|---|---|
| 厚生労働大臣が指定する産業医研修を修了した(1) | 医師免許証の写し+産業医研修の修了証の写し |
| 産業医科大学など指定の大学で産業医養成の課程を修めて卒業し、実習を履修した(2) | 医師免許証の写し+履修証明書・卒業証書などの写し |
| 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格した(3) | 医師免許証の写し+合格証の写し |
| 大学で労働衛生の科目を担当する教授・准教授・常勤講師の職にある、またはあった(4) | 医師免許証の写し+在職証明書の写しなど |
| 平成8年10月1日以前に厚生労働大臣が定める研修の受講を始め、修了した(6) | 医師免許証の写し+研修の修了証の写しなど |
| 平成10年9月30日の時点で産業医としての経験が3年以上(7) | 医師免許証の写し+実務経験証明書などの写し |
厚生労働省の入力支援サービスには、該当する欄に✓を入れて選任報告と一緒に出すチェックリスト「産業医選任報告の際に必要な添付書類」があります。
電子申請の手順——入力支援サービスで実際に試してみた
こんにちは。さんぽちゃーと編集部です。
今回は最近使っている方が徐々に増えてきている「産業医の選任届の電子帳票出力」に関して実践していこうと考えています。
従来PDFで配布されていた産業医の選任届ですがPDFのため手書きでの入力が必要でした。
今回は新たに公開されている厚生労働省の電子版でも出力できるようになったということで実際に使用して見た例を紹介していきます。

電子入力と申請を私と一緒にやっていきましょう。
産業医電子申請はどこからする?
さて便利になってきたという産業医の電子入力・電子申請ですがどこから入力すればよいでしょうか?
こちらは厚生労働省の「労働安全衛生法関連の届け出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」から入っていきましょう。

上記のような画面が出てきます。記載の通り電子申請をせず申請書だけ出したい方は左を選択。e-Govのアカウントを持っておりそのまま申請したい方は右側を選択しましょう。
次の画面では下記の図のように選択を行ってください。


帳票内容を入力していくステップ
ここでやっと入力フォームが始まります。内容自体は申請書と同じ内容になっています。右側に入力を進めていきましょう。
入力した内容は最終的に選任届に反映されるので「この内容を書く場所は場所はどこだ?」と迷うことが少なくなりそうです。


左側の帳票見本はリアルタイムで更新されるのではなくすべての入力が終わった後で反映されたデータをダウンロードできる仕組みのようです。ご注意ください。
記入欄の書き方で迷ったときのために、サンポチャートの選任スタートパックでは選任報告の記入例をお渡ししています。
産業医解任届としても使用可能
こちらの電子申請は産業医の解任のみの届け出としても使えるようです。紙の帳票ではわかりにくい部分ですが電子版ではわかりやすくなっていますね。


例えば事業所の人数が49人未満になった際は産業医の解任のみが行われるケースがあります。解任届は存在せず選任届を活用して労基署に申請する必要があります。詳しくは下記の記事をご覧ください。

日付入力が簡易的でわかりやすくなっている
電子申請版の入力は和暦・西暦を選ぶことができるようになっています。
西暦に関してはカレンダーが出てくるのでクリックするのみです。
紙の申請に比べてわかりやすくなっています。

詳しい説明や資料がワンクリックで使用可能
電子入力のありがたい部分は注釈や情報をワンクリックで出すことができる点です。今までは帳票を裏返して解説を見る必要がありましたが、電子版ということでかなり楽になっています。
特に産業医の資格の種別(産業医資格はいくつか存在するためどの資格か番号で入力をする必要がある。)を調べやすくなった印象です。


電子申請の場合は添付文章も忘れずに添付
今回紹介した電子申請の場合は添付文章もできワンストップで申請が可能なようです。
添付文章も様々な種類のデータが添付できるようで、「医師からもらった情報のデジタルデータの形式により申請しずらい」といったケースは少なそうです。電子申請は添付をおこなった後申請ボタンを押すと申請終了です。


電子帳票はどちらでもPDFでダウンロード可能
最終的に必要事項が記入されたとしてPDFのダウンロードができました。

良い点としては記入漏れが出ない、注釈が出てくる、申請の場合はワンストップで申請できることかと考えました。
悪い点はまだ専門用語が少し多いと印象でした。詳しくない担当の方は迷ってしまうこともあるのではないでしょうか?
人数が50人前後を行き来している、前の産業医が急にやめたなど、届出の前の判断で迷うときは、人事の事例相談(初回30分無料・2026年12月末まで)で産業医に聞けます。

まだ専門用語は多いため詳しくない方は一抹の不安がよぎりそうな部分もありました。仲介企業などが支援が無い際で担当者が一人で行う場合には有効かと考えます。労基署からフィードバックを貰って修正をかけることも良いかと考えました。紙の申請でもしばしば修正を頂く場合もあります。
産業医が辞任・交代したときの報告——2026年8月1日から義務に
2026年(令和8年)8月1日から、産業医の辞任・解任・退任があったときも、遅滞なく、電子申請で所轄の労働基準監督署長に報告することが義務になりました。後任の産業医の選任と前任の辞任等を同時に報告する場合は、辞任等の報告を別に出す必要はありません。
労働者数が50人未満になって産業医が辞任等をした場合は報告の義務はありませんが、選任状況を把握するため、監督署への報告が求められています(厚生労働省のリーフレット)。辞任・解任のあとは、その日から14日以内に新しい産業医を選任します。交代の段取りは産業医の変更・交代の手順、報告の中身は【2026年8月施行】産業医の解任・辞任の報告義務化で会社がやることで詳しく説明しています。
よくある質問
Q. 産業医の選任報告はいつまでに出しますか?
産業医を選任したら、遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告します。選任そのものは、選任すべき事由が発生した日(従業員が50人以上になった日や、前の産業医が辞めた日など)から14日以内に行います。
Q. 産業医選任報告の添付書類は何ですか?
医師免許証の写しと、産業医の要件に当たることを証する書面の写しです。産業医研修の修了者なら修了証、労働衛生コンサルタント(保健衛生)なら合格証の写しなど、資格の種類ごとに決まっています。
Q. 産業医選任報告の電子申請はどこから行えますか?
厚生労働省が提供する、労働安全衛生法関連の届け出・申請帳票の入力支援サービスから行えます。電子申請をせず申請書だけ出力したい場合と、e-Govアカウントでそのまま電子申請したい場合とで選択画面が分かれています。
Q. 産業医選任届の電子申請で、入力内容はすぐに帳票に反映されますか?
いいえ、産業医選任届の電子申請では、画面左側の帳票見本はリアルタイムで更新されるのではなく、すべての入力が終わった後で反映されたデータをダウンロードする仕組みになっています。
Q. 産業医の解任だけを届け出る場合も、この選任届を使いますか?
はい、産業医の解任のみを届け出る場合も、この選任届の仕組みを使うことができます。解任届という専用の書式は存在しないため、選任届を活用して労働基準監督署に申請する必要があります。
Q. 産業医選任届の電子申請には紙の申請と比べてどんなメリットがありますか?
記入漏れが出にくく、入力中に注釈で説明を確認でき、申請の場合はワンストップで手続きが完了する点がメリットです。一方で専門用語がまだ多く、詳しくない担当者は迷うこともあります。
Q. 前の産業医が辞めた日が分からないときは、どう書きますか?
交代した日で書いて受け付けてもらえることが多いです。ただ、扱いは労働基準監督署によって違うので、提出先の監督署に確認し、その指示に合わせてください。
まとめ
今回は厚生労働省のシステムを使って産業医選任届の入力・申請を試してみました。
今までわかりにくかった部分が上からフォームを入力するだけで入力できるようになっていることは画期的だと考えました。
一方で、まだわかりにくい言葉が複数あることも事実です。現状可能であれば詳しい産業医・医師会・仲介会社などに相談しながら作成するとよいかもしれません。
労基署の職員も相談に乗ってくれますのでわからない点はぜひ相談しながら、上手に電子版を活用していきましょう。


