企業の安全衛生において管理する重要な役割を決める衛生委員会。
その活動記録である議事録は、簡易形式的な書類ではなく、企業の安全衛生活動の証明であり、法令遵守の観点から重要なものです。
この記事では、衛生委員会の議事録作成における法的要件から具体的な記載項目、そして効率作成を助けるフォーマット記事例、正しい保存方法まで、実務的に即した形で解説します。
産業保健業務の効率化を目指す担当者の方々にとって、すぐに実践できる内容となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。

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衛生委員会の議事録とは?法律上の要件や重要性
衛生委員会は、労働安全衛生法第18条に基づいて設置が義務付けられている組織です。
衛生委員会の議事録については、「会議の都度、委員会における議事の概要を記録しておかなければならない」と明確に規定されています。
この議事録は、労働基準監督署の調査や監査の際に確認される重要な書類でもあります。
議事録作成が求められる理由
衛生委員会の議事録が法律で求められる理由は、主に以下の点にあります。
活動の証明 | 企業が従業員の健康や職場環境の改善に向き合って証明する公記録となります。 |
継続的な改善の基盤 | 過去の議論や決定事項を振り返ることで、PDCAサイクルを回し、職場の衛生管理を継続的に改善していくための基礎資料となります。 |
情報共有のツール | 委員会で話し合った内容や決定事項を社内に周知するための重要な情報源となります。 |
責任の明確化 | 誰がどのような意見を述べ、どのような決定がなされたかを記録することで、職場の安全衛生に関する責任の所在を明確にします。 |
不備があった場合のリスク
衛生委員会の議事録に不備がある場合、企業は以下のようなリスクがあります。
- 法令違反の指摘:労働基準監督署の一時審議議事録不備を指摘されるリスク
- 労災発生時の責任問題:一時労働災害が発生した際は企業の安全衛生管理体制、議事録の不備は「安全配慮義務」に問われる可能性
- 改善活動の停止:議事録が適切に作成・保存されていないと、過去の議論や決定事項を正確に把握できず、継続的な改善活動が滞る原因となる
- コンプライアンス上の問題:安全衛生管理に関する基本的な法令遵守ができていないという企業評価の低下につながる
適切な議事録作成と保存は、単なる事務作業ではありません。
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衛生委員会の議事録に記載すべき必須項目
衛生委員会の議事録には、必ず記載すべき項目があります。具体的には、以下の基本情報を記載しましょう。
- 開催日時:年月日および時間(開始・終了時刻)
- 開催場所:会議室名や場所の特定ができる情報
- 出席者氏名:役職と氏名(特に議長、衛生管理者、産業医、労働者代表等)
- 欠席者氏名:欠席理由の記載があった
- 書記(議事録作成者):記録責任者を明確にする
これらの基本情報は議事録の度に記載し、「いつ」「どこで」「誰が」参加して会議が行われたのか一目で確認できるようにすることが重要です。
その他に記載する事項について、以下にまとめています。
審議事項 | 委員会で議論され、決定が必要な事項職場環境の改善策の検討健康診断結果に基づく職場環境や作業方法の改善策長時間労働対策や過重労働防止策メンタルヘルス対策の計画や実施状況の評価 |
報告事項 | すでに実施された活動や現状の報告事項安全衛生活動の実施状況健康診断の実施結果と統計データ労働災害発生状況衛生教育の状況職場巡視の結果報告 |
決定事項 | 会議で合意に達した内容や、実施が決定された対策など決定された対策の具体的な内容実施責任者(担当配置や担当者)実施期限と達成目標予算や必要なリソースに関する決定事項 |
次回への課題 | 今回の委員会で結論が出なかった事項や継続審議となる内容継続審議となる議題次回までに準備すべき資料や情報当面の検討スケジュール次回の衛生委員会の開催予定日 |
審議事項の記録では、客観の経過や各委員の主な意見、反対意見などもできるかぎり具体的に記載することが大切です。
また、報告事項については、要点をまとめ、必要に応じて数値データなども記録します。
これらを明確に記録することで、決定事項の実行管理や継続的な議論の促進につながります。
効率的な議事録作成のためのフォーマット例
衛生委員会の議事録を効果的に作成し、運用・保管するために、フォーマットがあります。ここでは、フォーマットのテンプレート例を紹介しますので参考にしてください。
シンプルな議事録テンプレート
シンプルな議事録テンプレートは、効率的な議事録作成に役立ちます。基本的な項目として、以下のものを含めることが推奨されています。
- 開催日時と場所
- 出席者名簿
- 議事録作成者
- 審議事項と決定事項
- 次回の議題
これらの項目を明確に記載することで、議事録の内容が一目で把握でき、後日確認する際にも時間を短縮できます。
特に、衛生委員会では労働災害の報告や健康診断の受診率など、具体的なデータを含むことが多いため、シンプルながらも詳細な情報を記載することが重要です。
議題別フォーマットの活用法
議題別のフォーマットを活用することで、議事録の作成効率をさらに高めることが可能です。
例えば、以下のようなフォーマットを用意します。
- 定期報告用フォーマット: 長時間労働者数や労災件数などの定期的な報告に使用
- 特別議題用フォーマット: 新しい健康管理システムの導入やストレスチェックの実施など、特別な議題に対応
これにより、議題ごとに必要な情報を迅速に記録し、議事録の内容を整理しやすくなります。
また、議題別にフォーマットを分けることで、重複する情報を省略し、議事録全体の見通しが良くなるでしょう。
デジタル化に対応した議事録フォーマット
デジタル化に対応した議事録フォーマットは、効率的な管理と共有を可能にします。
Webデータベースを活用することで、議事録を電子化し、関係者間で簡単に共有できることがメリットです。
特に、会議資料や関連ドキュメントも一緒に管理できるため、後日確認する際の手間が大幅に減ります。
また、キーワード検索機能を利用すれば、特定の議題や決定事項を迅速に探し出すことができます。
記入例と注意点
議事録の記入例として、以下のようなポイントを考慮すると良いでしょう。
開催日時と場所 | 開始時刻と終了時刻を明記し、開催場所も具体的に記載 |
出席者 | 出席者の名前と役職、議長や産業医のコメントも含めて記載 |
審議事項 | 議題ごとに要点や決定事項を明確にし、必要に応じて箇条書きで整理 |
次回の議題 | 次回開催予定の日時や議題を記載し、事前に準備する内容を明示 |
注意点としては、議事録は3年間保存する必要があるため、電子データとしても安全に保管できるようにすることが重要です。
また、労働基準監督署の立ち入り検査に備え、議事録の内容が正確かつ適切であることを確認することが求められます。

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衛生委員会の議事録の正しい保存方法と期間
衛生委員会の辞儀録について、正しい保存方法と期間を知ることは必須です。ここでは、以下のポイントを解説します。
- 法令で定められた保存期間
- 紙媒体での保存方法とポイント
- 保存場所と閲覧・共有のルール
法令で定められた保存期間
衛生委員会の議事録は、労働安全衛生規則に基づき、開催の都度作成し、3年間保存することが義務付けられています。
この保存期間は、労働基準監督署の立ち入り検査時に過去の議事録が確認される可能性があるため、厳守することが求められます。
また、3年間を超えても保存することは問題ありませんが、保存期間を超えても継続的に管理できる体制を整えることが重要です。
紙媒体での保存方法とポイント
紙媒体での保存は、物理的なスペースを確保し、適切な管理が必要です。
議事録は、耐久性のある紙を使用し、防湿・防虫のための専用ファイルや箱に保管することが推奨されます。
また、保存場所は安定した温度と湿度を保つことができ、火災や水害などのリスクが低い場所を選ぶことが望ましいです。さらに、議事録の整理や検索性を高めるために、索引や目次を作成しておくと便利です。
保存場所と閲覧・共有のルール
議事録の保存場所は、労働基準監督署の立ち入り検査時に迅速に提出できるように、すぐに取り出せる場所を選ぶことが望ましいでしょう。
また、議事録は全従業員に周知する必要がありますが、機密性の高い情報が含まれる場合は、適切なアクセス制御を設けることも大切です。
まとめ:効率的な衛生委員会運営のために議事録をしっかりと活用しましょう
衛生委員会の議事録は、労働安全衛生の重要な基盤となります。
効率的な議事録作成と保存は、委員会の運営を円滑にし、労働基準監督署の立ち入り検査にも対応できる体制を整えるために不可欠です。
また、デジタル化を進めることで、データの共有や検索性を高め、委員会全体の効率性を向上させることも可能です。
議事録の保存は、法令に基づく3年間の保存義務を遵守しつつ、紙媒体と電子媒体の両方で適切に管理することが求められます。特に電子保存の場合、セキュリティ対策を講じて個人情報を保護することが重要です。
このように、議事録をしっかりと活用することで、衛生委員会の運営を強化し、労働者の健康と安全を守るための基盤を整えていきましょう。
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