企業の人事担当者にとって、従業員の健康診断結果の管理は欠かせない業務の1つです。
しかし「健康診断の結果は、必ず会社に提出しなければならないのか」「従業員から提出を拒否された場合、どのように対応すべきか?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、従業員が健康診断の結果を会社に提出するべき理由やスムーズに回収する方法、健康診断の結果を提出しない従業員への対応などについて、法的な観点も踏まえながら詳しく解説します。
従業員の健康管理を適切に行い、企業としての責務を果たすために、ぜひ最後までご覧ください。
職場の健康管理 無料相談
サンポチャートの専門スタッフが健康経営をサポート
先着10社様限定
- 職場の健康課題の明確化と解決策提案
- メンタルヘルス対策・働き方改革アドバイス
- 健康経営優良法人認定取得サポート
※相談は完全無料・TIMEREXでのご予約となります
従業員は健康診断の結果を会社に提出すべき?理由を解説
企業は健康診断を実施するだけでなく、結果を管理する必要があります。本章では、従業員が健康診断の結果を会社に提出すべき理由を解説します。
- 会社は健康診断を実施する義務があるから
- 会社は健康診断の結果を把握する義務があるから
- 健康に問題のある従業員への対応が必要だから
- 労働基準監督署に結果を提出する場合があるから
- 健康診断の結果を一定期間保存する義務があるから
会社は健康診断を実施する義務があるから
企業には、労働安全衛生法に基づき、従業員に対して定期健康診断を実施する義務があります。この義務は、従業員の体調を把握し、職場の健康と安全を確保することを目的としています。
健康診断を実施すると、従業員の健康リスクを早期に発見できるため、生産性の向上が期待できるでしょう。
また、企業が健康診断の実施を怠った場合は罰則の対象となる可能性があるため、適切に対応することが求められます。
会社は健康診断の結果を把握する義務があるから
企業は、健康診断の実施だけでなく、その結果を把握し、必要に応じて対策を講じる責務があります。異常が見られた場合は迅速に対応し、疾病の悪化や労働災害を防ぐ必要があるためです。
そのため、健康診断の結果を確認するだけでなく、産業医や保健師の意見を取り入れ、健康管理や労働環境を見直すことが重要です。
健康に問題のある従業員への対応が必要だから
健康診断で異常が発見された場合、企業は産業医や保健師と連携して、従業員の健康を守るために適切な措置を講じる義務があります。
具体的には、就業制限や配置転換、労働時間の見直しなどを検討し、従業員が無理なく業務を継続できるよう配慮します。
また、必要に応じて医療機関の受診を促すのも重要です。企業が適切に対応すると、従業員の健康リスクを軽減できるため、労働災害の防止や生産性の向上につながります。
労働基準監督署に結果を提出する場合があるから
常時50人以上の労働者を雇用する事業場では、健康診断の結果を労働基準監督署に報告する義務があります。これは、企業が健康診断を適切に実施し、従業員の健康管理を徹底しているかを監督、指導するための制度です。
報告の際は、健康診断個人票をもとに「定期健康診断結果報告書」を作成し、所定の期日までに管轄の労働基準監督署へ提出します。
虚偽の報告をしたり、報告書の提出を怠ったりした場合、労働基準法に基づく罰則が適用される可能性があるため、適切な対応が求められます。
健康診断の結果を一定期間保存する義務があるから
企業は、健康診断の結果を最低5年間保存する義務があります。これは、従業員の健康状態を長期的に管理し、必要に応じて適切な対応を取るためです。
過去の結果と比較すると健康状態の変化を把握できるため、病気の早期発見につながります。
また、労働基準監督署の指導や監査が行われた際、健康診断の結果が適切に管理されているかをチェックされます。企業の責任を果たすために法令を守り、信頼を高めることが重要です。
職場の健康管理 無料相談
サンポチャートの専門スタッフが健康経営をサポート
先着10社様限定
- 職場の健康課題の明確化と解決策提案
- メンタルヘルス対策・働き方改革アドバイス
- 健康経営優良法人認定取得サポート
※相談は完全無料・TIMEREXでのご予約となります
健康診断結果の提出をスムーズに集めるための手順
健康診断の結果を効率的に収集し、管理するためには、以下の手順を踏むことが大切です。以下の内容についてそれぞれ解説します。
①対象者をリストアップする
②必ず受診するよう従業員に連絡する
③健康診断の結果が届いたら従業員から提出してもらう
④未提出の従業員にリマインドする
①対象者をリストアップする
健康診断を受診する従業員を把握して、リストアップします。正社員や契約社員、パートやアルバイトなどの対象範囲を事前に確認し、漏れがないように進めましょう。
リストを作成すると、未受診者や未提出者のチェックが容易にできるため、リマインドもしやすくなります。
また、デジタルツールや管理システムを活用すると可視化できるため、業務の効率化につながるでしょう。
②必ず受診するよう従業員に連絡する
健康診断の実施は法律で義務付けられているため、日程を従業員に周知し、必ず受診してもらいましょう。
社内メールや掲示板、チャットツール、朝礼でのアナウンスなど、複数の手段を活用して呼びかけると効果的です。
健康診断の受診が労働安全衛生法に基づく法的義務であることを伝えると、従業員の協力を得やすくなります。
健康診断を軽視しがちな従業員に対しては「未受診の場合、企業としての管理責任が問われる可能性がある」ことを説明し、理解してもらいましょう。
③健康診断の結果が届いたら従業員から提出してもらう
健康診断を受診した従業員には、結果を速やかに提出するよう依頼しましょう。提出期限を事前に周知すると、提出の遅れや未提出を防げます。
また、提出方法についても柔軟に対応することが大切です。紙での提出に加えて、PDFや写真データでの提出も許可すると従業員が提出しやすくなるため、効率的に回収できるでしょう。
④未提出の従業員にリマインドする
健康診断の結果が未提出の場合は早急に提出するよう、従業員にリマインドします。
社内の一斉メールやチャット、掲示板などを活用すると効果的です。その際、以下のとおり伝えると、従業員の意識を高められるでしょう。
- 健康診断結果の提出は従業員の義務であること
- 未提出の場合、企業の健康管理体制に影響が出る可能性があること
一斉通知だけでなく、個別にフォローするのも有効です。メールやチャットだけでなく、電話や直接の声かけによって、提出の遅れを防ぎやすくなります。
健康診断の結果を提出しない従業員への対応方法
健康診断結果の提出を拒否する従業員には、以下の方法で対応することが大切です。次の内容について、それぞれ見ていきましょう。
- 提出期限を明確にする
- 定期的にリマインドする
- 提出しない場合のペナルティや法的リスクを伝える
- 健診機関から結果を会社に直接送付してもらう
提出期限を明確にする
健康診断の結果を回収する際は「受診後できるだけ早めに」などの曖昧な表現を避け、提出期限を具体的に設定しましょう。
例えば「健康診断の結果が届いてから2週間以内に提出する」「○月○日までに提出する」など、期日を定めて事前に周知すると、期限内に提出しようという意識を促せます。
提出期限を通知する際は、メールやチャット、掲示板などを活用して、分かりやすく伝えることが必要です。
このような工夫を取り入れると提出の遅延を防げるため、スムーズに回収できるでしょう。
定期的にリマインドする
従業員に対して定期的にリマインドするのも効果的です。例えば以下のタイミングで連絡するとよいでしょう。
- 提出期限の3日前(注意喚起)
- 提出期限の前日(翌日が締切の旨を強調する)
- 提出期限の翌日(提出期限が過ぎたため、至急の提出を依頼する)
- 提出期限の3日後(提出期限が過ぎたため、至急の提出を依頼する)
- 提出期限の1週間後(上司を通じてリマインド)
提出期限を明確にしつつ、計画的なリマインドを徹底すると未提出者を減らせます。
提出しない場合のペナルティや法的リスクを伝える
労働安全衛生法により、企業は従業員の健康診断結果を適切に管理し、必要な措置を講じる義務があります。
そのため、従業員が提出しない場合、企業としての健康管理体制が不十分と判断され、監督機関から指導を受ける可能性があることを伝えましょう。
また、社内ルールとして、未提出が続いた場合の対応(出勤停止や懲戒処分など)を就業規則に定め、従業員に周知するのも有効です。
これにより、従業員が健康診断の結果を提出する意識を持てるようになります。
健診機関から結果を会社に直接送付してもらう
健診機関と連携し、健康診断の結果を会社へ直送する仕組みに変えると、従業員だけでなく人事担当にも大きなメリットがあります。
具体的には次のとおりです。
- 従業員の提出漏れを防げる
- 未提出者に対して人事担当者がリマインドする必要がない
- 早期に結果を受け取れるため、スムーズに健康管理ができる
- 従業員が健診結果を紛失したり、改ざんしたりするリスクがない
直送する方法に変えると、従業員と人事担当双方の負担を軽減しながら、適切な健康管理を維持できます。
職場の健康管理 無料相談
サンポチャートの専門スタッフが健康経営をサポート
先着10社様限定
- 職場の健康課題の明確化と解決策提案
- メンタルヘルス対策・働き方改革アドバイス
- 健康経営優良法人認定取得サポート
※相談は完全無料・TIMEREXでのご予約となります
従業員の健康診断結果を見られる人
健康診断の結果は個人情報のため、閲覧できるメンバーが限られています。以下のメンバーが見られる理由について解説します。
- 産業医・保健師
- 健康管理担当者
- 直属の上司(就業制限等がある場合のみ)
産業医・保健師
産業医や保健師は、従業員の健康管理を担当し、必要な指導を行う重要な役割を担っています。
健康診断の結果をもとにして、異常がある従業員へ個別面談を実施し、就業制限や配置転換の必要性を企業に助言します。
また、従業員に対して生活習慣を改善するアドバイスを行うなど、健康リスクの低減に向けたサポートも行っているのです。
健康管理担当者
健康管理担当者は、産業医や保健師と連携して、従業員の健康を守る義務があります。
また、労働基準監督署への報告義務がある場合は、書類を作成して提出するのも重要な業務です。
健康診断の結果を確認する際は、業務上の目的以外で結果を閲覧しないこと、関係者以外に結果を漏洩しないことが求められます。
直属の上司(就業制限等がある場合のみ)
健康診断の結果に基づき、従業員の就業制限が必要と判断された場合、直属の上司と情報を共有する場合があります。
そのため、従業員の健康状態に配慮しながら、業務の調整や配置転換を適切に行えます。
ただし、健康診断の結果は個人情報に該当するため、共有する情報は必要最小限に留め、プライバシーの保護に十分配慮することが必要です。
まとめ
健康診断結果の管理は、従業員の健康維持と企業の法令遵守に不可欠な取り組みです。
従業員からの回収を徹底するとともに、未提出者へのリマインドや産業医・保健師との連携を強化すると、健康サポートをさらに強化できます。
また、従業員に健康診断の重要性を理解してもらい、協力を得るとスムーズな運用につながります。
法令の遵守にとどまらず、従業員一人ひとりが安心して働ける環境を整えるために、適切な管理体制を構築しましょう。
職場の健康管理 無料相談
サンポチャートの専門スタッフが健康経営をサポート
先着10社様限定
- 職場の健康課題の明確化と解決策提案
- メンタルヘルス対策・働き方改革アドバイス
- 健康経営優良法人認定取得サポート
※相談は完全無料・TIMEREXでのご予約となります