職場の肩こりに効く!デスクで簡単ストレッチ3選【理学療法士が教える】
「デスクワークでずっと同じ姿勢をしていたら、肩こりになってしまった…」
「デスクワークが多くて、肩こりがなかなか治らない」
「肩がこって仕事に集中できない…」
あなたはこのような悩みはありませんか?
毎日のデスクワークやパソコン作業で、慢性的な肩こりで悩まされている方もいると思います。
本記事では日頃から肩こりに悩まされているデスクワーカーの皆様に向けて、肩こりの原因や肩こりに効くストレッチや運動をご紹介します。
ストレッチはデスクで簡単にできるものとなっていますので、ぜひご覧ください。
デスクワーカーが知っておくべき肩こりの原因
デスクワークによる肩こりの主な原因は、長時間同じ姿勢でいることで肩甲骨の動きが悪くなり、肩の筋肉が緊張して血行が悪化することです。
また、精神的ストレスや運動不足、デスク環境が肩こりの原因となることがあります。
では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
長時間のデスクワークで同じ姿勢でいること
デスクワーカーの多くは、冷房の効いた部屋で長時間パソコン作業をする人がほとんどではないでしょうか。
長時間同じ姿勢でパソコンの画面を見つづけると、肩甲骨(けんこうこつ)が外側に広がりやすくなり、背中が丸まりやすくなります。
また、自然と首や頭が前に出て頸椎(けいつい:首の骨のこと)に負担をかけてしまいます。
その結果、首や肩の筋肉が緊張して血行不良を引き起こし、筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らず、肩こりへと発展してしまうのです。
精神的なストレスで筋肉が硬くなる
精神的なストレスも肩こりを引き起こす原因の一つです。
仕事や日常のさまざまな場面で精神的ストレスを感じることで、交感神経(こうかんしんけい:自律神経の一種で、代謝や消化、体温調整など体内の機能制御に関わる)が働き、筋肉が緊張状態になります。
特に首や肩の筋肉はストレスの影響を受けやすく、筋肉の緊張状態がつづくことで肩こりへと発展してしまいます。
運動不足による筋力の低下
肩こりの原因の一つとして、筋力の低下があります。
日頃の運動不足で、肩や背中の筋肉が弱くなってしまうと正しい姿勢を保つのが難しくなります。
その結果、肩に負担がかかり、肩こりにつながってしまうのです。
不適切なデスク環境
仕事場のデスクやイスが体に合っていないことも肩こりの原因になります。
デスクやイスの高さが合わないと、肩や背中に負担がかかり、筋肉の緊張や血行不良を起こして肩こりになってしまいます。
ご自身にあった作業環境を整えることが、肩こり予防の大切なポイントです。
肩こりを引き起こすデスク環境をチェック
デスク環境が悪いことも肩こりの一因となることについて解説してきました。
ここからは、パソコン作業をする時の正しい姿勢についてのチェックポイントをご紹介します。
パソコン作業をするときの正しい姿勢のチェックポイント
参考:独立行政法人労働安全衛生総合研究所 パソコン利用のアクション・チェックポイント
- モニターの高さは水平線より下、ディスプレイは眼から40cm以上離しているか
- 背もたれのついた椅子を使用しているか
- 肘(肘掛)と手(机上)を支える肘関節の角度は90度となるように調整しているか
- イスやデスクは高さ調整ができるものを使用しているか
- 足元の空間を確保しているか
上記の項目を参考に、デスク環境を整えるようにしましょう。
肩こりを放置する危険性
肩こりの原因やデスク環境について解説していきました。
しかし、デスクワーカーの中には「たかが肩こりだから…」と肩こりを放置している方もいるのではないでしょうか。
そのまま放置していると、痛みやこりの悪化、作業効率や生産性の低下のおそれがあります。
それでは、危険性について詳しくみていきましょう。
痛みやこりが慢性化と疲労感
肩こりをそのまま放置しておくと、痛みや筋肉のこりが慢性化して肩や首の周りの血流が悪くなり、疲労を感じやすくなります。
その結果、精神的なストレスにもつながりさらに肩こりを悪化させる危険性があります。
頭痛や手のしびれなどの症状が出るおそれ
慢性的な肩こりがさらに進行すると、頭痛や手のしびれなどの症状が現れることがあります。
この症状は首や肩の血行不良や神経圧迫の結果、引き起こされると考えられており注意が必要です。
作業効率や生産性の低下
肩こりによる痛みや疲労感により集中力が低下し、作業効率や生産性の低下のおそれがあります。
首や肩がこっていると、人によっては重りがのっているように感じる人もいるのではないでしょうか。
肩こりを放置する危険性に触れてきましたが、仕事の合間に軽いストレッチや運動をすることで、肩の筋肉のこりや血流の改善が期待できます。
次の見出しでは、デスクでできる肩こりに効く簡単なストレッチや運動を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【職場で簡単】肩こりに効くストレッチ3選
ここから、デスクでできる簡単な肩こり予防の運動やストレッチをご紹介します。
肩こり改善には肩甲骨を動かしたり、周りについている筋肉の柔軟性を向上させたりすることが不可欠です。
肩甲骨や周りについている筋肉を意識して、運動を実施してみましょう。
注意して欲しいのは、肩の痛みがひどいときや運動を行って痛みが増す場合には、無理にストレッチや運動や行わないようにしにしてください。
1.肩の押し下げストレッチ
このストレッチでは、首から肩、背中についている大きな筋肉の僧帽筋上部繊維
(そうぼうきんじょうぶせんい)をほぐし、血行を促進する効果が期待できます。
首や肩を痛めるおそれもあるため、無理に強い力で行わないようにしましょう。
開始姿勢:足の裏を床につけた状態でイスに座ります。背もたれには寄りかからず、猫背にならないように背筋を伸ばして座りましょう。
ステップ1:片方の手を背中に回します。
ステップ2:反対の手で肩を押さえます。
ステップ3:首を斜め前方に倒し、10〜15秒キープします。
ステップ4:2〜3回ほど繰り返し行い、反対側の肩も同様に実施しましょう。
2.肩すくめ運動
文字通り肩をすくめる運動です。こちらも僧帽筋を動かすことによって、リラクゼーション効果も期待できます。
開始姿勢:足の裏を床につけた状態でイスに座ります。背もたれには寄りかからず、猫背にならないように背筋を伸ばして座りましょう。
ステップ1:腕は肩からまっすぐ体側に下ろすようにします。
ステップ2:息を鼻から吸いながら、両肩を耳に近づけるように上に引き上げます。
ステップ3:息を吐きながら、引き上げた肩を「ストン」と下方に下ろします。
この時、肩を後ろに円を描くように下ろすとさらに効果的です。
ステップ4:3〜5回繰り返します。
3.胸はり-背中丸め運動
開始姿勢:足の裏を床につけた状態でイスに座ります。背もたれには寄りかからず、猫背にならないように背筋を伸ばして座りましょう。
ステップ1:両手を前方で広げます。
ステップ2:胸を張るように腕を後方へ引き、両方の肩甲骨を引き寄せます。
ステップ3:背中を丸めながら腕を前方へ持ってきます。
ステップ4:5〜10回ほど繰り返します。
肩こり予防のために生活習慣の見直しも大切
肩こりに効くストレッチや運動をご紹介してきましたが、肩こりの根本的な解決には生活習慣の見直しが大切です。
長時間同じ姿勢を取らないようにする
デスクワークなどで長時間同じ姿勢で作業する際は、適宜休憩を挟みながら行うようにしましょう。
また、今回ご紹介したストレッチや運動をぜひ休憩の際に実践してみてください。
適度な運動をする
定期的に運動をすることで、肩周りの筋肉強化と柔軟性が期待でき、肩こりの予防につながります。
水泳やウォーキング、ヨガなど肩周りを動かす運動がおすすめです。
ストレスを溜めすぎずない
精神的なストレスが溜まりすぎると自律神経が乱れて、血行が悪くなったり筋肉が硬くなったりします。
ストレスを感じると人は無意識のうちに肩に力が入ってしまうため、さらに肩こりを悪化させしてしまうおそれがあります。
ストレスを解消するためには、十分な睡眠やバランスの取れた食生活、運動、リラックスする時間を設けることなどするようにしましょう。
冷え対策をして血行を良くする
肩こり予防には肩まわりの血行を良くするために、冷え対策をすることも重要です。
特に仕事終わりに肩こりが気になった時は、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かって入浴するようにしましょう。
肩をはじめ全身の筋肉の血行が良くなり、筋肉の柔軟性の向上やリラックス効果が期待できます。
熱すぎるお湯では、自律神経の働きにより逆に筋肉の緊張が増してしまうおそれがあるので、注意が必要です。
ひどい肩こりは専門家に相談することも大切
ひどい肩こりや生活習慣、デスク環境産を整えても症状が改善しないときは病気が隠れていることがあります。
症状が改善しない場合や生活に支障が出て困っているなどのお悩みがある方は、産業医や産業保健師、産業分野に関わる理学療法士に相談するようにしましょう。
肩こりの予防や改善には日頃の積み重ねが大切
今回はデスクワーカーが悩まされる肩こりの原因やデスク環境、肩こりに効く効果的なストレッチや運動について解説していきました。
肩こりの予防には日頃の生活習慣の見直しも大切になってきますが、運動習慣は中々身につかないものです。
しかし、忙しい仕事の合間でも軽い運動やストレッチをつづけることで、肩こりの予防や改善につながることが期待できます。